悪影響は生活や経済にも…

ディフューシ島の住民は井戸水をくみ上げて生活していましたが、海面上昇などで、海水が混ざるようになってしまいました。いまは雨水や海水を、浄水器を通すなどして使っています。

ディフューシ島在住 シムーさん
「ほとんどのビーチは消滅しつつあり、経済的にも地域の生活においてもあらゆる面で島に悪影響を及ぼしています。とても悲しいです」

“海水温の上昇”も大きな問題です。

輸出の98%を占める水産業も漁獲量の減少という危機にさらされています。

魚市場の卸売人
「これらの魚は一定の温度で生きています。海水温が上がると魚が少なくなります」

マグロ漁師のファバスさんは最近、海外への移住を真剣に考えるようになりました。

マグロ漁師 ファバスさん
「私たちはいつか国を失うことになる。世界は行動しなければいけません」

気候変動の脅威から国を守りたい。モルディブでは、“生き残りをかけた闘い”がすでに始まっています。

そのひとつが首都マレに近い環礁に開発されている人工の島「フルマーレ」です。

1997年に埋め立て工事が始まり、砂地には高層マンションやビルが次々と建てられました。海面上昇に対応できるよう平均海抜は2メートル。

4人の子どもと家族6人で暮らすハミードさん夫妻は、2年前に別の島から移住してきました。

「ここの環境は気に入っています」
「私たち家族は幸せで、安心して暮らしています」

公園や商業施設など市街地の整備も進み、すでに5万人が人工島での生活を始めていて、今後30年で20万人あまりの移住が可能になるということです。

ただ、ハミードさんはたとえ今が安全でも、“子どもたちの将来はどうなるか分からない”と不安を口にします。

2年前に人工島に移住 ハミードさん
「気候変動のせいで子どもたちは生まれ育った場所を離れ、移住しなければならないのではと常に不安です」

そんなモルディブでは、ある“壮大なプロジェクト”も。