14兆円超の税金が国会を経ずに使われた“コロナ予備費”。コロナ対応にあたった病院にも多く支出されたが、適切に使われていない実態も。病院関係者が取材で語ったこととは。

■「必要以上に支払われている」病院の関係者が語る補助金の実情

約14兆8000億円のコロナ予備費のうち、最も多く支出されたのが「医療提供体制の確保」「ワクチン関連」など、約5兆4000億円。このうちの一部も“適切に使われていなかった”という証言が、私達に寄せられた。

国はコロナ患者の入院にすぐに対応できるよう、ベッドをあけている医療機関に「空床補償」として補助金を支給している。

通常診療を制限することで病院に出た損失を補填するもので、1床につき1日あたり7万4000円から43万6000円が支払われる。
この空床補償をめぐっては、コロナ患者用の空き病床があるのに患者を受け入れずに補助金だけを受け取る、いわゆる“幽霊病床”が問題となった。

大学病院でコロナ対応に当たっていた医師は・・・

大学病院の医師
「補助金ビジネスになっていた、そんな病院があったということに関しては否定はしません。必ずしも協力金を引き上げれば(患者を受け入れる)病床確保がスムーズにいくわけではないという問題、この部分を軽視した。制度上の歪みがあったと思います」

また、“幽霊病床”の問題とは別に、「そもそもの空床保証料が過剰だったのでは」という指摘もある。

都内の、ある病院の収益が記された資料によると、新型コロナ関連補助金として2021年4月から9月までの半年間で、11億8700万円あまりが支給されたと記されている。

また、2020年度は約20億円の補助金が支給されたという。

この実態について、当時、病院でコロナ対応にあたっていた関係者が取材に応じた。

膳場貴子キャスター
「一番大きなプラスだったのはどういう補助金だった?」

都内病院の関係者
「やっぱり一番大きかったのは空床補償の、コロナ病床としての補助金だったと思います。我々の病院は、病床稼動率としては本当に10%前後のときもあったんですね、計算上は」

最大で40床ほどのコロナ病床を備えていた、この病院。例えば10%の稼働率だった場合、空床の36床に対し、最低でも1日で合計260万円以上が支払われたという計算になる。

財務省によると、2020年度に支給されたコロナ補助金は、1医療機関あたり平均10億1000万円だった。

都内病院の関係者
「普通にその額を通常の診療で稼ぐっていうのは、かなり難しい。今の経営状態だと難しいと思いますので、必要以上に支払われているとは思います」

必要以上に高額な補助金が支払われた結果、こんなことにも・・・

都内病院の関係者
「基本的には(病院の)赤字の補填として使われていましたので。何も特にそれによって手当が増えたとかそういうことはないです、一切。働いている者としては(コロナ対策で)目に見えて何か変わったというものはないですね」

ーーでも病院の経営状態が改善した?

「そういうことです。過去最高の赤字の縮小額になっている」