新型コロナウイルスは感染症法上での位置づけが「5類」に引き下げられ、これ以降、県が入院調整を取りまとめるなどしてきた医療提供体制が大きく変わりました。これによって、現場の医療機関では新たな負担が増えているといいます。その最前線を取材しました。
すでにキャパオーバー 街のクリニックの新型コロナへの対応
新型コロナの感染拡大が全国と比較して極めて深刻な状況となっている沖縄。沖縄県内54の定点医療機関の報告に基づく新型コロナ推計感染者数は、7月3日から9日までの1週間で1万560人となり、3週連続で1万人を超え、定点当たりの感染者数は41.67人となっています。

新型コロナが5類に引き下げられたことで、負担が増加しているクリニックが那覇市曙にあります。
このクリニックでは一般診療とは別に受付を設けて、発熱患者も診療しています。発熱患者の受け入れは午前5人、午後5人が定員ですが、この日は午前11時までにすでに7人が受診していました。
曙クリニック 玉井修院長
「コロナ陽性だね。コロナにかかっていますね。ワクチンを2回打っているんでしょう。だったら重症化しないと思うんですね」
「コロナ陽性反応出ているのね。持病があるので、ちょっと重症化するとあまり良くないのね。きょうはラゲブリオというコロナの薬を出しましょうね」

クリニックを訪れる発熱患者のうち、およそ7割が新型コロナ患者だといいます。
曙クリニック 玉井修院長
「これをだいたい午前中15人くらいかな」
一方で、クリニックのメインは一般診療。使い捨てのガウンを脱いで、奥で消毒したら通常の診察へ。
曙クリニック 玉井修院長
「高血圧の治療中だもんね。いま健康上困っていることある?」
この繰り返しを玉井院長と看護師1人、事務員4人でこなします。
曙クリニックの事務員
「裏口の方に発熱外来用の入り口がありますので。そちらのインターフォンを押していただいて」

曙クリニック 玉井修院長
「エンドレスといったら変だけど、どこまでやればいいのかというのが見えないところがあるので。それがつらい。あと夏場は暑い。なにしろあの格好で歩き回るのは体力は相当消耗する」
ひっ迫する発熱外来。さらに新型コロナの5類移行にともなって、現場の大きな負担となっていることがあるといいます。
曙クリニック 玉井修院長
「県の対策本部が無くなったことによって、後方支援病院に、支援をお願いするためのルートがなくなり、重症患者に後方支援病院に入院してくださいと送るためには、我々最前線の医療機関が独自の力でやるしか方法がなくなってしまったんですね」
これまでは容態の把握や入院調整などは一元的に県の新型コロナ対策本部が担ってきましたが、ことし5月の5類移行後、対策本部は解散。
入院が必要になった際の調整が、まちのクリニックの新たな負担となっています。