交際相手とは別の男性との間に妊娠「浮気がばれることを恐れて…」
「被告人は、2022年4月10日午後7時半ごろ、愛媛県新居浜市内の竹林で、直前に出産した男児に対して、殺意をもって全身をバスタオルで覆い、竹林の水路内に置いて隠した上、その場から立ち去って放置し、翌11日ごろ死亡させて殺害した」
2023年9月19日。殺人罪の被告人として法廷に現れたのは、A女被告(当時)。上下とも黒い服装で、少しくせのかかったショートヘア。
検察官が読み上げる起訴状を、正面を見つめたまま聞き入るA女被告(当時)。時折、目元を手で覆うようなしぐさを見せるが、傍聴席からは表情を伺い知ることはできない。
「先ほど検察官の読み上げた起訴内容に間違いはありませんか?」
「間違いありません」
弁護士も、公訴事実に争いはないと同意。裁判では「刑の重さ」が争点となった。
続いて、冒頭陳述が行われる。
「交際相手とは別の男性との間に妊娠が発覚したことから、交際相手や同居する家族に浮気がばれることを恐れて犯行に及んだ」
A女被告(当時)には、約10年前に知り合った森さん(仮名)という交際相手がいる。
また、8人きょうだいの末っ子として生まれ育ったA女被告(当時)は、2017年に両親と死別して以降、平屋の一軒家に、50代と40代の兄2人と甥の、合わせて4人で同居していた。家事のほとんどをこなす傍ら、生活費を得るために飲食店でアルバイトもしていた。