世界最大の自動車市場である中国から、三菱自動車が撤退する方針を決定することがわかりました。その原因はEV=電気自動車の出遅れです。中国で急拡大するEVシフトに日本はなぜ出遅れたのか。そして、挽回策はあるのでしょうか。

三菱以外の日本メーカーも、中国撤退は黄色信号?

23ジャーナリスト 片山薫 記者:
車の話題をお伝えしたいのですが、まずご覧いただきたいのがトヨタ自動車20%、日産自動車32%、三菱自動車4%という数字。

こちらは何の数字かというと、世界での販売台数のうちの、中国市場の割合を示したものです。

中国市場は、実は世界最大の自動車市場なんですけれども、ここで4%まで落ち込んだ三菱自動車が来週、中国撤退を決定します。背景にあったのは、EV=電気自動車の遅れでした。

2023年7月。JNNのカメラが向かったのは、中国・湖南省にある三菱自動車の工場です。

JNN上海支局 寺島宗樹 記者
「ちょうど工場の裏側になりますが、主力商品のアウトランダーがぎっしりと停められています」

工場の敷地内に隙間なく停められた大量の車。なかには、かけられたカバーが破れたままになっているものも。

実はこの工場、3月から生産を停止。原因は極度の“販売不振”です。

三菱自動車は2012年に中国メーカーと合弁会社を設立。2018年には中国で約14万台を販売しましたが、2022年はわずか3万8000台あまりに。

三菱自動車 加藤隆雄 社長(2023年5月)
「何らかの構造改革が必要である」

関係者によると、合弁会社の株式を売却し、合弁事業を解消する方針を固めたということです。

在庫がなくなり次第、新車の販売も終了し中国市場から撤退する考えで、来週、取締役会を開いて正式に決定する方針です。

なぜ、中国で日本車が売れなくなったのか。理由は、中国で急速に進むEV=電気自動車の普及です。

2022年、中国のEV販売は前の年から80%増え、新車に占めるEVの割合も20%を超えています

エンジン車が主体の日本の自動車メーカーは、軒並み中国での販売台数を減らしています

日本の自動車メーカー幹部
「三菱自動車だけでなく、他の日本メーカーもEVは手薄で、中国からの撤退が相次ぐ可能性がある」