1年前、ウクライナから広島に避難してきた姉妹。まだ戦争が続く祖国に戻ることを決め、つい先日、日本を発ちました。自分たちの将来の夢に向けて歩みを進めるため行った決断。日本で過ごした1年を取材しました。

ウクライナに帰国 姉妹の決断

ウクライナから広島市に避難していたファジリャ・ボロジナさんと妹のマリアさんです。この日、1年間滞在した広島を離れます。ふるさとに帰国するためです。

ファジリャさん
嬉しいのと悲しいのと半分ずつ。嬉しいのは友達が見送りに来てくれているから。悲しいのは広島を離れなければならないから」

手には、ウクライナから持ってきた大切なぬいぐるみ。冠は、仲良くなった子どもからのプレゼントです。

2人が広島に来たのは、2022年の秋でした。ウクライナの首都・キーウを拠点に働く母・エディエさんと離れ、それまでゆかりのなかった広島での生活を姉妹で乗り越えてきました。

ふるさとに帰りたい気持ちが募る一方で、心の傷も抱えていました。

ファジリャさん
ーー原爆資料館を見学するのはどう?
「今は難しいかな。ほぼ毎日、ウクライナ関連のニュースで被害を受けた町の写真を見るけど怖い」

姉妹は平和公園には、何度も訪れていましたが「戦争の傷跡を直視できない」と原爆資料館には入れないままでした。

7月。2人にとって嬉しい出来事がありました。母のエディエさんが仕事の休暇の合間に日本にやってきたのです。エディエさんの姿が見えると...

約1年ぶりの再開。お互いの身を案じながら過ごした、長い1年でした。

ファジリャさん「お母さんです!」
エディエさん「娘たちをサポートしてくれてありがとう。支援してくれた人の話は、たくさん聞いていました」

2人がウクライナで経験した戦争についてエディエさんが話してくれました。

エディエさん
「あの時は、どれだけ戦争が恐ろしいことか全く想像もしませんでした」