「知ろうとしなかったのは罪ではないか?」裁判員の質問に青葉被告が“沈黙”回答に窮する

これまでの裁判で、青葉被告は自分の小説が京アニに盗まれたと主張していた。そして、無関係の社員らを狙った理由については、「『盗作を知らなかった』のは知る努力を怠っていたのであり、全員が同罪だ」と発言していた。

取材班では初公判から傍聴取材を続ける中、一般感覚として、この身勝手な発言には怒りにも似た感情を抱いていた。これに切り込んだのが、別の裁判員の男性だった。

男性の裁判員②「京アニの従業員の方々は、各部署で専門が違っていて、違う部署だと(盗作の)内容を知らない方もたくさんいたと思うが、そのことは青葉被告自身は知ろうとはしなかったのか」
青葉被告「・・・(20秒ほど沈黙。首をかしげながら)知ろうとしなかった部分はあります」

男性の裁判員②「青葉被告が知ろうとしなかったことは罪にはならないのか」
青葉被告「至らない部分で、努力が必要な部分だと思います」

青葉被告はこれまでの裁判で、回答に窮すると、声が小さくなったり、語尾が尻つぼみになったりする場面が多く見られた。今回のいずれの回答に関しても、傍聴席からではほとんど聞き取れないほどの、か弱い声だった。

被告人質問は、10月下旬から始まる「責任能力」に関する審理の中で再び行われることになるが、「経緯・動機」に関する審理での被告人質問は、この日でいったん一区切りとなった。青葉被告の健康状態から、そもそもどこまで会話できるのか注目していたが、想像以上に明瞭に、そして雄弁に語る青葉被告の姿が印象的だった。


次の第10回公判からは、目撃者や京アニ社長、京都市消防局の職員などの証人尋問が予定されている。