街中で見かけることも多い無料のPCR検査。一部で行われていたずさんな検査の実態が私たちの調査報道で明らかになりました。「もみ消す」「捨てる」、これは従業員の間で交わされたメッセージです。責任者が私たちに語ったこととは?

■“存在しないクリニックが無料PCR検査所を開設” 情報元に現地へ行くと・・・


いま街中に次々と作られている無料のPCR検査所。その数、全国に1万2000か所あまり。

PCR検査を受けた人
「身近な人とかで陽性者が出た場合は、念のために無料で受けられる所が近くにあると便利かと思いますね」


無料なのは検査費用が全額税金で賄われるためだ。検査所には1件の検査につき1万1500円の補助金が国から支払われる。無料のPCR検査所を開くには、医療機関や薬局などと提携する必要がある。安心安全な検査を担保するためだ。


ところが、無料PCR検査で問題が起きているとの情報が寄せられた。
横浜市にある検査所。「プライベートクリニック六本木監修」と書かれているが・・・

情報提供サイト「TBSインサイダーズ」への投稿内容
「『プライベートクリニック六本木』という存在しないクリニックを使って、無料PCR検査所を開設しています」

TBSインサイダーズに寄せられた情報


「プライベートクリニック六本木」はすでに閉院し、いまは実在しないというのだ。六本木に向かうと・・・

「ああ、ここか。ありました。ここに問題のクリニックがあったんですが、いまは看板が外されています」

東京・六本木 問題のクリニックがあった場所


診療しているようには確かに見えない。一体、何が起きているのか。

私たちはこのクリニックを開業した元院長に話を聞くことができた。
元院長は、PCR検査の需要を見込んでクリニックを開業したものの客足が伸びず、2021年7月、保健所に閉院届を出したという。ところがその8か月後。


プライベートクリニック六本木元院長
『閉院したクリニックの名前で無料PCR事業の検査所の申請が多数出されています』という連絡をもらいました。閉院届を出していたので認知していなかった、知らなかった」

閉院した後、自分の知らぬ間にクリニックの名前が使われ、無料PCR検査所が作られていると自治体から知らされたというのだ。神奈川、埼玉、福島、宮城の4つの県に、クリニックの名を使った検査所が少なくとも12か所あることが分かったという。