母への気持ちの変化「全然気にしていないよ」

 「なかのこの里」で家族として過ごした時間。そうした中で母を思う気持ちにも変化がありました。

 (島美咲さん)
 「母が実際に使っていた母子手帳。母が実際に書いた字とか通っていた病院とか父親の名前とかも全部書いていた」

 小学生のころに初めて手にした母子手帳。テープで補強されるなど少し痛んでいますが、美咲さんにとって唯一残る母とのつながりです。
17.jpg
 (島美咲さん)
 「このへんはメモじゃないですか。たぶん必要な物品とかのメモだと思うんですけど。大事なところをメモしているのかなと思って、母も『子育て頑張ろう』って思ったのかなとちょっと思いました」

 実の母がなぜ自分を手放したのか、今どう思っているのか、それを知る術はありません。美咲さんはもうすぐ24歳になります。それは母が自分を産んだ歳。

 (島美咲さん)
 「いろいろな経験もさせてもらって、いろいろな選択もさせてもらって、いろいろな勉強もできて、いろいろな人に会って。あのとき預けてくれてありがとうとは思わないですけど、預けてくれてこういう経験もできたし、全然気にしていないよ、と」

 置かれた境遇を悲観したこともあったけれど、今は違う。どこかで暮らす母にそう伝えたいと思っています。