面会に訪れる娘「いつかは父の死を告げたい」
今年2月に入居した松浦才子さん(83)のもとには、長女の博子さんが週に4~5回は会いに来ています。以前入っていた特別養護老人ホームでは、面会制限で3か月に1度、ガラス越しでしか会うことができませんでした。
(才子さんに話しかける長女・松浦博子さん)
「お母さん、お母さん、起きた?来たで。まぶしいな?ちょっとまぶしいか?いい天気やで、きょう外、桜咲いとったわ」
才子さんは脳梗塞の後遺症で言葉が出にくい状況が続いています。
博子さんには面会でどうしても伝えておきたいことがありました。去年12月、同じ特別養護老人ホームに入居していた父親で、才子さんの夫が亡くなったのですが、まだそのことを伝えられずにいます。
(才子さんの長女 松浦博子さん)
「ガラス越しの面会で、弟と一緒に面会に行った時に、父親が亡くなったことを言おうかと思ったんですけど、やっぱりこの状態だと言わないほうがいいかなと思って、言ってないんです」
外に出るのが好きな才子さん。天気の良い日は散歩に連れ出します。自分のことを娘だとわからなくなった状態で、母親に父の死が伝わるのか不安ですが、博子さんは会う時間を増やし、いつかは告げたいと思っています。
(才子さんに話しかける博子さん)
「久しぶりちゃう?桜見るの。(才子さんが手を振り)手振った、手振った」
2人の娘が1日おきに面会…母親「電話で声を聞くだけよりうれしい」
5月19日、施設では看護師らの動きが慌ただしくなっていました。入居者の女性の容体が悪化していたのです。
今年3月に取材した時の松島知恵子さん(83)。
(松島知恵子さん 今年3月)
「これ写真に写っている小さい赤ちゃんはひ孫なんですよ」
松島さんは、バッド・キアリ症候群という肝臓からの血管が詰まる難病を患っていましたが、近くに住む2人の娘が1日おきに訪ね、家族一緒の時間を過ごしていました。
(松島知恵子さん 今年3月)
「(Q会えてどんな気持ち?)そらうれしいですよ。みんな元気そうでやってくれているからね。電話で声を聞くだけよりね、うれしいですよ」