緩和ケア病棟では『99%の病院が面会制限』

 このようにコロナ前に近い形で面会ができる施設は未だに限られています。大阪府では、第6波だけでも731の高齢者施設でクラスターが発生し、1万2000人以上が感染しています。去年10月末に日本ホスピス緩和ケア協会が緩和ケア病棟を対象に行った調査では、99%の病院が禁止を含め人数や時間などの面会制限を行ったと回答しています。
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 「えびす堂ナーシングホーム」では、集団感染のリスクは認識した上で、人生の最後を思い残すことなく過ごしてほしいと、“家族との面会”を大切にしているといいます。

 (えびす堂ナーシングホーム・管理者 隅垣佐祐里さん)
 「コロナ禍になって最後の時間を一緒に過ごせない人たちが増えている中で、家族との時間というのは必要不可欠なんじゃないかなという思いで、できる限りできる範囲の中で面会はぎりぎりのラインでできたらいいなと思って継続しています」

面会で夫の優しさに触れた妻「今が一番いい時間」

 面会することでコロナ前より絆が深まった人がいます。80代の妻が1週間ぶりに夫(79)に会いにやってきました。

 (夫に話しかける妻)
 「お父さん、大丈夫?大丈夫?来たよ」

 夫は6年前に肺がんとなり、左肺を全て摘出していて、最近は認知機能も低下しているといいます。
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 (妻(80代))
 「(Q今日は手に反応はありますか?)そうそう手を握っていますから。(Q握り返してくれる?)そうです。感じます」
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 結婚して約50年。改めて向き合ったことで今まで感じたことのない夫の優しさに触れたといいます。

 (妻(80代))
 「いたわってくれるんですよ。私が介護されて大変だとか。この人といて良かったです。今までそんな感じじゃなかったけど。なんで結婚したんだろうとか、何回か離婚したいとかいろんなことを思いましたけれど、今が一番いい時間だと思います」

 (妻)「じゃあ帰るからな」
 (夫)「気をつけてな。気をつけて」
 (妻)「うん、がんばりや」

 人生の残りの時間が限られた人にとって、共に過ごせる時間はかけがえのないものです。