「両親の許可を得ている」“連れ去り”否定するロシアの思惑は

ロシアは何のために「子どもの連れ去り」を行ったのか。連れ去りについて研究を進める、アメリカの専門家はこう説明する。

イェール大学 サニエル・レイモンド人道研究室長
「子どもたちの連れ去りには3つの目的があると見ています。1つは再教育です。子どもたちを親ロシア派のカリキュラムに沿ってロシア語で教育し、ロシアが支配しているドンバス地方とクリミアに戻すことを目指しています。2つ目は、ロシア国内向けのPRです。ロシア国民に対し、違法な侵略行為を『人道的な行為』だとすり替えるための広報キャンペーンなのです。そして3つ目は、子どもたちを交渉の駒として使うことです」

ーー子どもたちの連れ去りを指揮している人は誰ですか?

イェール大学 サニエル・レイモンド人道研究室長
「基本的に、指揮系統の頂点にはプーチン大統領がいます。彼はウクライナの子どもたちを簡単に養子にすることができるよう、ロシアの法律を変えました。また、子どもたちを引き取るロシア国民に、子ども1人当たり月額200ドル以上の手当を与えました」

ロシア側は「両親の許可を得ている」「無理矢理連れてきてはいない」と主張。あくまで保護しただけ、と“連れ去り”を否定している。

イェール大学 サニエル・レイモンド人道研究室室長
「子どもを持つ人や、大切に思う子どもがいる人はよく考えてほしい。もし彼らが、どこにいるのかわからないとしたら・・・。ある日銃を持った男たちがやってきて、あなたの腕から子どもを奪い取ったら・・・。どう感じるでしょうか」

ロシアに連れ去られた子どもたちのうち、親元に戻れたのは400人足らず。未だ、1万9000人以上が連れ去られたままだ。

TBSテレビ「つなぐ、つながるSP 戦争と子どもたち 2023→1945」取材班