【めぐみさんの父 横田滋さん】
「せっかく子どもが帰ってきても、親がいないという状態になりますので…」

残された時間の少なさは、もうずっと前から滋さんが訴えていたことでした。

早紀江さんは、まだ滋さんの遺骨を納骨せず、そばに置いています。「めぐみさんが帰ってきたときに滋さんの遺骨を抱きしめてほしい…」。めぐみさんの弟たちが、そう強く願っているからです。

【早紀江さん】
「親は年をとってきて、このまま続けていったら“全員帰国”ということを言っても、本当にそれは実現できるのかなと、親としては不安がありまして…」

これまで「拉致被害者全員の救出」を力強く気丈に求め続けてきた早紀江さんですが、このごろ訴える言葉に変化が見えてきています。

【早紀江さん】
「みんな会いたいと、一目見たいと思っていると思うんですよ、こんな長いこと(会えなくて)、一目見ないでお父さんみたいに逝ってしまうのか、という思いは皆さん持っていると思うんですよね。その意味で私は、一目でも見て『ああ大きくなっていたんだな、こんなになってでも元気でいるんだ』。そういう安心感をちょっとでも味わいたいし、味わわせてあげたいなという思いで言っている」

「一目でもいいから娘に会いたい」。この切ない願いの裏には、45年もの長い間、事態を動かすことのできない政府への落胆がにじんでいます。

【早紀江さん】
「毎日ね、朝起きたらね、ちゃんとご飯食べているのかなとかね、毎日思っているわけですよ。皆さんのお子さんだったらどうなさるんですかって。政府の方も同じ親として、そういう日本じゃいけないんじゃないですかって、一生懸命言うしかなくて。今はそれを一生懸命伝えています」

母は娘の無事を信じて、信じて、待ち続けています。