大阪府の関係者は、吉村知事の発言の変遷をこう分析する。
(府関係者)「『万博延期したらどうか』と言われているのを食い止めるためじゃないかなと。特に建設業界の人たちから出てるみたいだけど、『2025年4月にちゃんと開幕させるんだ』というのをきちんと示しているという話なんだと思う。万博を延期するなんて、しかもその理由が『パビリオン建設間に合いませんでした』って、参加を表明している海外の国に申し訳が立たんでしょ」
さらにこの関係者は、国や博覧会協会がリーダーシップを取らないことに吉村知事が苦言を呈したいとする意図があるのではないかと見る。
「万博は国の事業なわけですよ。建設業界が苦しいと言っているなら、本来はもっと経産省とか、もっと言えば総理や官房長官クラスが、万博頑張ろうと声をあげないといけない」

吉村知事の発言には、パビリオン建設に必要な、大阪市に対する建設許可申請が、8月3日時点で韓国のみの1件にとどまることや、費用の上振れへの強い批判、そしてそれに抜本的な対策を見いだせない国や博覧会協会に対する地元の焦りがにじむ。「万博の華」であり、各国独自の創意工夫が見られるはずのパビリオンは、果たしてどんな姿になって開幕を迎えるのだろうか。
(大阪・関西万博取材班 中村真千子 尾藤貴裕 清水貴太)