トラウマに強迫性障害…利用者が入居した様々な背景

平口さんが見せてくれた療育手帳には「B」の文字。これは軽度、または中度の知的障害を認めるものです。

平口さん
「テストを受けて面接とか行って判断されて、これが交付される」

石川県によりますと知的障害と認定する療育手帳の所有者は年におよそ200人のペースで増加していて、今年3月末の時点でおよそ9900人に上っています。

療育手帳保持者数の推移


けが・病気で日常生活や仕事が制限される人には障害年金が支給されます。平口さんの場合、月におよそ6万5000円の支給が見込まれ、これでグループホームの家賃を賄う予定です。

共用スペースでは1日2食、世話人が作った食事が提供されます。

平口さん「(世話人さんが)話も聞いてくれるしありがたい」
世話人「あら、いいこと言ってくれて。ありがとう」
入居者「もっと褒めんなん」
世話人「おかず一品増えるかもよ」
平口さん「ご飯も作ってくれるし。いい風に言うと…おせっかい」
世話人「あはは、オブラートに包んでくれたね」

現在、ツェデクでは男性4人、アビーブでは女性5人が集団生活を送っています。

入居者の女性「強迫性障害。手をよく洗う」
Q洗わずにはいられない?「うんうん」

強迫性障害に限らず過去のトラウマやアルコール依存症など、入居に至った人の背景はさまざまです。

入居者の女性
「20代は引きこもっていた、2年くらい。今は楽しく生きようと思っている」
「いま、服を裏返しになっているのを表に返して畳んで5枚ずつ風呂敷に詰める仕事をしている」

なぜ働きたいのかを聞くと「車のアルファードがほしい」と笑顔を見せます。

精神科医・中本理和さん


中本理和さんは今年2月、このグループホームを立ち上げた精神科医です。個人の医師が経営するものとしては県内初の施設です。

中本医師
「もう自立目指さなくていいからという気持ちでグループホームをやっている。ちょっと前までは仕事しなきゃいけない、自立させなきゃいけないという目標があったんですけど、今は皆さんそれも無理。生きていくのも無理」