「ずっと愛してくれたんだって」血のつながらない父と息子の絆

剛志さんと一矢さんは、実は血のつながりがありません。

一矢さんはチキ子さんと死別した前の夫との間の子どもで、一矢さんが4歳の時に、剛志さんと親子になりました。

剛志さんは、一矢さんを我が子のようにかわいがっていましたが、やがて、自傷行為がひどくなり、体が大きくなった一矢さんの生活を家族だけでは支えられなくなりました。

一矢さんは、障害児の施設を経て、23歳のとき、やまゆり園に入所します。

それでも、剛志さんは、面会や宿泊行事などを通じて、一矢さんを見守り続けてきました。

事件のあと、一矢さんにある変化がありました。
はっきりと「お父さん」と呼んでくれるようになったのです。

「一矢は本当に僕のことをちゃんとお父さんとして見て、ずっと愛してくれたんだって思った」(剛志さん)

事件のあと、一矢さんは、横浜市にある仮移転先の施設・芹が谷園舎で生活をしていました。

剛志さんは、やまゆり園が再建された後は、元の場所に一矢さんを戻すつもりでいました。

しかし、事件から2年が過ぎたころ、転機が訪れます。