どん底の状態から救ってくれた“高齢者施設での仕事”
経済的にも精神的にもどん底の状態から下坂さんを救い出したのは、高齢者施設でのケアワーカーの仕事です。行政の支援員があっせんしてくれました。
(おばあさん)「あんたがスターやろ?」
(厚さん)「スターじゃない」
(おばあさん)「どっから見てもスターに見えるんやけど」
(厚さん)「また悪いこと言って」
週に5日、ほかの職員とほとんど同じ業務をこなしています。
(厚さん)「お花みたいになってきたね。黄色入れたらやっぱり違うね」
(おばあさん)「うん」
お年寄りの笑顔にふれて「誰かに必要とされている」と感じることが、新たに前へと踏み出す力になりました。
下坂さんは認知症であることを公表。趣味のカメラで撮りためた日常の写真をSNSで公開するようになりました。
こんな活動も始めました。65歳未満で発症した若年性認知症の患者は全国に3万5000人以上いますが、患者同士のつながりはほとんどありません。下坂さんの発案で、当事者と支援者が月に1回、ただお喋りをする場ができました。