『心はずっと無くならない』…記憶の代わりに撮りためた写真

 先日、下坂さんの思いが実を結びました。記憶の代わりに撮りためていた写真とメッセージが「京都市京セラ美術館」で展示されたのです。
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 (来場者)
 「記憶がなくなっても写真を撮ることで自分の記憶がとどめられているっていう。心が温かくなったというかね」
 「感情が失われるわけじゃないんだなというのがすごくわかって。あとやっぱり、ひたすらに美しいなと」
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 (下坂厚さん)
 「昔は風景ばっかりだったんですけど、いまは人を撮る写真が多くなってきて。そこには自分の中で『いつまでも人としてありたい』というか。人が楽しんでいる風景とかを撮りながら、自分もそうありたい。楽しんでいる方にもその瞬間を永遠に残してあげたい。祈りを込めたような写真作りですね」
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 【下坂厚さんからのメッセージ】
 「記憶が曖昧で1日を振り返ることは難しいけど、明日を思い描くことはできるから、楽しい明日を想像する。明日もいい日になりますように。大切なことは忘れない。心はずっと無くならない」
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 (佳子さん)「どういうことをしたらいいかとかわからへんから、ちょっとでも脳に刺激を与えた方がいいかなとか」
  (厚さん)「しばらく会わないと忘れるしね、顔」
 (佳子さん)「こないだ言ってたやん。『上の子なんて名前やったっけ?』って」

 (妻・佳子さん)
 「明日急に何かが大きく変わるということはたぶんないと思うし、徐々にいろんなことが変わっていくかもしれないですけど、ゆっくりであれば2人で対応できるかなとも思うし、たぶん主人もそう思っているんじゃないかなと思います」

 愛する人も自分自身すらもわからなくなる。そんな“いつか”への恐れや不安を受け入れながら、下坂厚さんと佳子さんはかけがえのない『いま』を大切につないでいきます。

 (2022年5月31日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)