■「政治的野心を持たないとても有能な人材」


プーチン氏による人材の抜擢は、これまでも専門家の間で度々注目されてきた。先日の戦勝記念日には、36歳のドミトリー・コワリョフという人物がプーチン氏に寄り添う姿が映し出され後継者では?と憶測を生んだ。これまでも、突然の抜擢により周囲をザワつかせたことがある。こんな人たちだ。

ドミトリー・ペスコフ氏・・・エリツィン政権の時、外交官だったが、プーチン大統領就任の年に大統領府に入り、44歳で大統領報道官に抜擢され、現在に至る。

プーチン大統領時代のペスコフ氏(当時32歳)


マキシム・オレシキン氏・・・ロシア中央銀行・財務省職員を経て34歳で経済発展相に。37歳で大統領補佐官に抜擢された。

アントン・ワイノ氏・・・駐日ロシア大使館員として沖縄サミットでプーチン氏をアテンド。その後30歳で大統領府に上がり、44歳で長官に抜擢された。

習近平氏と北京で会談したワイノ氏


果たしてプーチン氏はどんな理由でこれらの人物を重用してきたのか? 実は36歳のコワリョフ氏も含め4人に共通点があるという。

朝日新聞 駒木明義 論説委員
「プーチン大統領の人材起用といえば、旧KGB 出身とか、(出身の)サンクトペテルブルク時代の同僚というのは典型的なんですが、ここにあがった人はそうではない。いずれも個人的に好かれた人…(中略)共通点といえば、プーチン大統領を脅かす存在ではない。若くて非常にバランスが取れていて…(中略)後継者になるタイプというよりは、心を許せる相手。仮に後継者とするなら完全に操れる弱いタイプです」

いつの時代もどこの社会も、トップに立つ者は自分の地位を脅かす存在は起用しないようだ。

防衛研究所 兵頭慎治 政策研究部長
「政治的野心を持たない、とても有能な人材。こういう人を起用するというのは、後継者を作るというより(中略)次のロシアを支える人材を育成しようという気持ちはあるんだと思う」

つまり、ロシアの未来のために優秀な人材は大事にするが、トップに立つ人材はいらない。自分がまだまだ頑張る。そのために憲法を改正したのだから…ということか。しかしプーチン氏はかつて一度大統領を退いている。その時、後継候補は二人いた。プーチン氏はその時どんな行動をとったのか…。