“LGBT法”成立 最高裁「適法」判決を見直しか
6月23日に施行された「LGBT理解増進法」。性的マイノリティーの人たちへの理解を促すため、政府が基本計画を作ることなどが定められている。法案をめぐっては、自民党の保守派から「男性が女性だと偽って女性用トイレに入るなど、悪用されるおそれがある」といった反対意見も出ていた。衆議院で可決された日には、本会議を退席する議員や、採決の時にトイレから出てこない議員の姿もあった。
一方、経産省職員の裁判では、職員の上告を受けて、6月16日に最高裁で弁論が開かれた。国側、職員側の双方が主張を述べた。

【国側の弁護士】
・可能な範囲で支援することを前提に、他の職員にも配慮した措置で、対応は適切だった
・当時トランスジェンダーに対し、性自認に従ったトイレの自由な使用を認めるべきとの社会的な広い理解はなかった
【職員側の弁護士】
・他の女性とは異なる取り扱いで尊厳を深く傷つけられ、女性として社会生活を送る重要な法的利益が制約された
・女性トイレの使用をめぐるトラブルは発生していない
最高裁の弁論は判決を変更する際に必要な手続きで、職員が敗訴した二審の判決が見直される可能性が出ている。最高裁は7月11日に判決を言い渡す。なお今回の裁判で争われているのは、職員による職場のトイレ使用。トイレの管理者が利用者のことを知っているクローズドな環境だ。公共のトイレのあり方について最高裁が判断を示すわけではない。