■「インドはロシアと西側、両方が必要としている」


ウクライナ侵攻で自国の兵器も消耗しているロシア。インドへの弾薬、スペアパーツの供給が滞ることが懸念されている。すぐにインドが武器を100%使いたいと思った場合、ロシアと付き合っていてそれが実現できるのか・・・インドを代表するシンクタンク「オブザーバー研究財団」の戦略研究の責任者に直接話を聞いた。

オブザーバー研究財団 ハーシュ・パント博士
「ロシアは(我が国の)原子力潜水艦や空母など重要な国防プロジェクトにも関わってきました。それらのシステムの多くはロシアのパーツや装置にしか対応していません。つまりインドが他国に武器の供給先を切り替えられないようにロシアがしているのです・・・。しかし最先端技術については、インドは西側へシフトしつつあります。また技術を持つ国と共同開発、共同生産を行うことも始めようとしています。武器の自給により過度なロシア依存を避けたいと思っています」

確かにロシア依存はデータからも年々減っては来ている。しかし、インドは最大の懸念である中国との関係からも、ロシアと意識的に決別しない国でもあるようだ。

東京大学東洋文化研究所 松田康弘教授
「ロシアは中国とインドに、同じ兵器を売っているんですが、インドのほうがスペックの高いもの、性能が高いものを売っているんです。ロシアにとっても中国は脅威ではあるので・・・」

オブザーバー研究財団 ハーシュ・パント博士
「インドにとって最大の戦略的課題は中国です。中国の台頭に対処する意味で、インドはロシアと西側の両方を必要としています。そんな国は世界でもインドだけでしょう」

クアッドでどんなに親密な雰囲気を作っても完全に“こちら側”には来そうにない大国インド。しかし同じように“向こう側”にも行かないようである。少なくとも良好な関係を保っている日本。付き合い方によっては、世界の中での日本のプレゼンスを高めるものになるのかもしれない。

(BS-TBS 『報道1930』 5月24日放送)