運転期間が長期化 増え続けるばかりの使用済み核燃料
福島第一原発事故から12年。いったんはすべて運転を停止した関電の原発も再稼働が進み、現在は5基が稼働中。近く高浜1号機・2号機も再稼働し、全7基が「フル稼働」する状況がまもなくやって来ます。
今年5月末には、原発の運転年数をめぐり大きな動きがありました。これまでは“原則40年、1回に限り20年延長可=最長60年”というルールでしたが、法改正によって、安全審査などで停止していた期間を運転年数から除外することが可能に。いわゆる“60年超運転”が可能になったのです。原発の運転期間の長期化は、不可避の流れになりつつあります。関電も、美浜3号機と高浜1号機・2号機の3基ですでに20年の運転延長が認められていますが、法改正によって、この3基も“60年超運転”の道が出てきました。また関電は現在、2025年に運転開始から40年を迎える高浜3号機・4号機についても、20年の運転延長を国に申請しています。
稼働原発が増え、運転年数も延びれば、使用済み核燃料は当然増え続けます。しかし、中間貯蔵施設を確保しない限り、原発内の使用済み燃料プールが“あふれてしまう”未来が早晩やってきます。この究極のジレンマを解消する策は、残念ながら見つかっていないのです。
「トイレなきマンション」に真剣に向き合う段階
今年6月、大手電力7社は電気料金(規制料金)の値上げに踏み切りましたが、関電は値上げを実施しませんでした。原発の稼働状況が好調であることが、最大の要因です。普段意識することはあまりありませんが、関西エリアは他のエリアと比べても、原発の恩恵を想像以上に享受しています。その恩恵の裏で進む“非常事態”に、我々消費者も本気で直視しなければならない段階に来ています。原発は「トイレなきマンション」と言われることがありますが、そのようなマンションでの豊かな生活が、永久に続くはずはないのですから…。
(MBS原発担当 松本陸)