■なぜその場で引き揚げなかったのか?3つの理由

井上キャスター:
23日に現場で沈没船を引き上げました。ですが、その場で作業船に引き上げるのではなく、浅瀬までえい航していくというのはなぜなのでしょうか。

日本水難救済会 遠山純司常務理事:
基本的に理由は三つあります。一つは、やはり吊り上げて海中から海面に出す時に、すごく圧力がかかるんですね。従って引き揚げる船の「新日丸」の方をしっかり固定する必要があります。そして、深い海では錨を下ろせないので、錨が下ろせるような浅い海まで持ってきて、新日丸の船体をきちんと固定した上で引き上げたいという意図があったと思います。

もう一つは、やはり引き上げる前に、今回のような事故が起こらないようにしっかりと固縛状況を確認してから揚げる。その作業は、潮の流れがもう少し穏やかなところでやる必要があるので、浅瀬に持っていきたかったと思います。最後は、今回のような事態になってしまいましたが、水深が深い所で失敗して船体がずり落ちると、非常に引き揚げるのが大変なんですね。浅い所であれば、再引き揚げが容易です。この三つのファクターを勘案して、浅い所に持って行きたかったと考えております。

井上キャスター:
そうすると、また最初から飽和潜水士の方々が特殊な調整を経て潜り、ワイヤーなどをくくりつけて引き上げるということになるんですか。

日本水難救済会 遠山純司常務理事:
飽和潜水士は現在、作業が終わって減圧をやっている最中なんですね。減圧の期間は通常1週間から10日ぐらいかかります。従って、一般的には同じチームをそんなに早くまた次の作業に使うというのは中々難しいのかなという気がします。そういった場合は、この船が持っている非常に高性能な水中カメラがアームも実装しているのでそれを使って引き上げ作業を行うことも可能ではないかと思います。

どういう形で再び引き上げ作業をやるかということを今、一生懸命に検討しているんじゃないかと思います。

■国交省は事業許可を取り消す方針

ホランキャスター:
今後ですが、知床遊覧船はこのまま事業を続けることが難しそうです。斉藤国交大臣は24日、「このまま事業を継続させることは再び重大な事故を起こす蓋然性が高いことから事業許可の取り消し処分が適当と判断」したと発表しました。来月14日に知床遊覧船から釈明を聞いた上で正式に処分を決定するということです。

この事故をめぐっては、特別監査で「実務経験がほとんどない社長を運行管理者に選任」「事故当日の気象・海象が一定の条件に達する状況であったにも関わらず運航中止の措置とらず」「船舶と通信が可能か十分な確認行わず」など19もの安全管理規程などの違反がわかったということで、かなり重大な事案ということが言えそうです。

井上キャスター:
もちろん国土交通省や国側の2重3重のチェックも必要ですが、自治体側にもしっかりとした体制を整えていくということが求められていますね。

星浩コメンテーター:
ここ2、30年ぐらいの風潮で、あらゆるところで「規制を緩和しましょう」というのがずっと続いてきましたよね。ただ、このように人命に関わることや安全に関わることについては、やはり規制がある程度必要だということを今回の事件は物語っていると思うんですよね。
やはり人命に関わることのセーフティネットの規制は必要なんだということも、今度岸田さんが打ち出す「新しい資本主義」の中に盛り込む必要があると思います。民間に任せられる部分は任せるけども、人命や安全に関わることについては公的機関のチェックが必要だと思いますね。

日本水難救済会 遠山純司常務理事:
しっかりと今回の事故の原因を究明した上で、安全管理側の不具合というのもしっかりとチェックして、二度とこういう事故が起こらないように制度として確立していただきたいと思います。