死刑か無期懲役か「裁判官にとっても死刑判決は残酷」
“死刑を免れた男達”は「死刑と無期の判断は裁判官次第」と口を揃える。
40年余りにわたって裁判官生活を送った森野俊彦元判事。死刑か無期懲役かの判断は裁判官にとって大きな重圧だと語る。

森野俊彦元判事
「(1審の)地方裁判所で(死刑を)言い渡した裁判長は、多くの場合、控訴を勧める。自分の判決が直で死刑に結び付くから(それを避けるため)涙ながらに訴えて、控訴してくださいという。裁判官にとっても(死刑判決は)残酷です」
死刑と無期。重大事件に向き合う裁判官の本音を語った。
森野俊彦元判事
「(裁判官は)世論を気にすると思います。誰が見ても死刑なのに、それを無期にするか、最後は世論が許さないだろうという判断で、結局死刑になってしまうのではないか」

地下鉄サリン事件など、一連のオウム事件では教団の幹部13人が死刑となった。その中のひとり、早川紀代秀元死刑囚が残した手記には“生への執念”が強く滲んでいる。

早川紀代秀元死刑囚が残した手記
「私が命令したわけでもなく私がこの手で殺したわけでもないのに、死刑かと言う思いがあります。林郁夫(サリンを散布した教団幹部)は自分の手でも2人を殺していますが、死刑を求刑すらされず無期判決です。いったいこの差は何なのでしょうか」
早川元死刑囚は、最後まで死刑反対を訴えて刑場に向かったと言う。
一方“死刑を免れた”林元幹部は現在、千葉刑務所で無期懲役囚として服役している。
無期懲役囚の面倒を見る『古松園』の岩戸園長は、人の命を奪った者は、生きて“贖罪”を続けるべきだとの考えが強い。
更生保護施設『古松園』岩戸顕 園長
「死刑は一瞬で終わる。だけど、無期は40年以上も続く」

全国の無期懲役囚はおよそ1720人。去年、岡山刑務所からの仮釈放は全く無く、限りなく“終身刑”の様相を呈している。