「日本語を覚えてほしい。日本社会の中で将来的には進学もあるだろうし…」

 必要となっているのは保護者たちへのサポートだけではありません。保育士たちが訪れたのは5歳児クラスに通うベトナム人・ナムくんの家。

 (ナムくんの担任)
 「すごいやん、ナムくん。勉強しているの?」

 勉強をするナムくん。テキストに書かれているのはベトナム語です。
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 (ナムくんの担任)
 「保育園のナムくんの様子っていうのをお話させてもらおうかなと思って」
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 2年前に来日したナムくん。最初は日本語が話せませんでしたが、友達とも会話ができるようになってきました。

 【他の子どもとのやりとり】
 (ナムくん)「ちっちゃ!ちっちゃいな、ほんま帽子」
  (子ども)「被って帽子」
 (ナムくん)「被るでー、被るでー」
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 ただ、まだ来日して2年。先生が言ったことを理解するのには、ほかの子どもたちより時間がかかってしまいます。

   (ナムくんの担任)「頑張ったけど、なかなかそれがうまくいかなくて、悔しい思いもたぶんしていると思うんですけどね。『わかってあげてね』とみんなに声掛けはしているんです」
 (ナムくんのお父さん)「日本語全部わかりませんから、心配する。先生・友達の話のときにわからないことが一番心配」
   (ナムくんの担任)「そうですよね。きょうね、生野区の小学校で使っている教科書を持ってきたんです。ちょっと見ていただいて」
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 持参したのは、1年後にナムくんが学ぶことになる教科書。どの程度の日本語が必要となるのか理解してもらうためです。

 (ナムくんのお父さん)
 「文章で勉強するのはまだ難しいですね。計算するのは大丈夫だけど…」

 日本の小学校に進学するのか、ベトナムに帰国して進学するのか、まだ決めきれていません。記者は、お父さんに通訳してもらいながらナムくんにたずねました(※ナムくんはベトナム語で回答)。
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   (記者)「日本とベトナムどちらの小学校に行きたい?」
 (ナムくん)「日本」
   (記者)「どうして日本の小学校に通いたいの?」
 (ナムくん)「友達がいるから。日本語がまだいっぱい話せないから、先生と話すとき、ちょっとしかわからないけど、友達のことはわかる」
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 園児の4割を占めるベトナム人の子どもたち。小学校に進学した後、彼らを待ち受ける状況に辻本園長も危機感を募らせています。

 (生野こもれび保育園 辻本慶子園長)
 「日本語を覚えてほしいんですけど、それ以前に覚えようとしてほしい。学校だけではなくて日本社会の中で将来的には進学もあるだろうし就職もあるだろうから、そのとき非常に不利になるのは確かだから」