■食洗器・冷蔵庫の半導体を戦車に…


ロシアは兵器の増産に躍起になりたいところだが、どうやら更なる難関に直面しているようだ。1936年創業のウラル・バゴン・ザヴォート社は、ロシアの最新戦車のほとんどを製造する。しかし、ウクライナ国営メディアによると、部品不足のため3月21日に操業を停止したという。米国商務省の輸出管理担当者も「ロシアでは制裁で通信機器などに使用する半導体が足りなくなっている」と分析している。
また、驚くべき報告もある。米国のレモンド商務長官は11日、ウクライナ側からの報告として「ロシア軍の戦車を調べた際、食洗器や冷蔵庫から取り出した半導体が使われていた」と明かした。さらにロシアの戦車連隊で、備蓄していた戦車10両のうち実際に運用できる戦車は1両しかなかったという。これは電子機器などの主要な部品が盗まれていたためだと、ウクライナの国防情報局が明らかにしている。

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「まさにロシアの弱いハイテクの部分が直撃されているので、ハイテク兵器が足りなくなっていくのは明らかだと思う。他方、ロシアは軍事訓練を行うとき、倉庫にしまってあるボロボロの兵器を出してきて油をさして使う。5万何千人分ぐらいの部隊は出来る。更にはもっともっと古い兵器もある。となると武器があるかどうかは戦争を続けられるかどうかに影響はするけど決定はしないと思う。プーチンがもし何が何でもやるとなれば、古い武器も引っ張り出してやると思う。それに対して国民がこんな物を持たされて戦争がやれるかとなるかどうか、この戦争の趨勢を決めてくるだろうと思う」

元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシアはロシア軍のための兵器だけでなく、中国とかインドに輸出をしている。契約をした分、本当に兵器を作って渡すことが出来るのか。いろいろ考えるとロシアでは非常に厳しい軍需産業の状態になって来るのではないかと思う」