もふもふの体につぶらな瞳のラッコ。なんとも可愛らしい姿に目を奪われます。そんな水族館のアイドル“ラッコ”が、実は近い将来、日本国内で見られなくなるかもしれないというのです。いったい、何が起きているのでしょうか。

国内にいるラッコはわずか3頭 なぜ減ってしまったのか? 

日本動物園水族館協会によると、日本に初めて「ラッコ」がやってきたのは1982年。

初めは一頭でしたが、飼育数は次第に増え、1994年には国内飼育数が122頭にまでなりました。しかし、その後は徐々に減少。2023年現在は国内に“3頭”となってしまっているのです。ピークから約30年で、なぜここまで減少してしまっているのでしょうか。国内に3頭いるラッコのうち2頭の飼育をする鳥羽水族館の、ラッコ飼育歴40年のベテラン、石原良浩さんに聞きました。

ーー子どものころ、水族館で当たり前にラッコを見ていた記憶があるのですが、今は日本全国でたった3頭になってしまっているんですか?

ラッコ飼育歴40年 鳥羽水族館 飼育研究部 石原良浩さん
そうなんです。いまは、鳥羽水族館に19歳メスのメイと、2021年に和歌山のアドベンチャーワールドからやってきたメスのキラ(15)がいます。福岡のマリンワールドにはキラのお兄ちゃんにあたるリロ(16)がいます。

鳥羽水族館のキラちゃん(15)とメイちゃん(19)

ーー本当に3頭だけなんですね。繁殖の可能性もないのでしょうか?

難しいというよりも、この3頭では無理ですね。メイはもう高齢ですし、キラとリロは兄妹なので繁殖させることはできません。

ーーなるほど…やはり絶望的なんですね。

本来、ラッコという動物は非常に繁殖力が旺盛な動物なんです。ピークに達したときの122頭という数の半分以上は日本で生まれた個体です。これまで非常にたくさんの繁殖を繰り返してきました。ただ、その繁殖を繰り返すごとに繁殖能力というところでいろんな問題が出てきました。それで日本で生まれるラッコが少なくなってきたんですね。

ラッコの寿命というのはだいたい20年ぐらいですから、寿命を迎えて減っていくのに対し、新しい個体が生まれてこないので年々少なくなって今に至ったという事です。