坂城町では事件後「犯罪被害者等支援条例」が作られる

 犯罪遺族の市川さんへの対応は適切に行われたと言えるのか?取材班は、対応に当たった坂城町の町長に直接、話を聞いた。

 (長野県坂城町 山村弘町長)
 「暴力団組員がらみの事件でありましたので、その舎弟がもしかしたらまた襲うことがあるかもしれないと。(警察に)県営住宅をどこかあっせんしてくれないかという話をしました。(市川さんに)それが『街から断られた』というふうに伝わってしまった。(Q二次被害のリスクは県営住宅でも同様に考えられるのでは?)ある程度、距離の離れたところならいいんじゃないかなと思いました」
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 事件後、坂城町では犯罪被害者を支援する条例「犯罪被害者等支援条例」を作り、市川さんには計60万円を見舞金として支給したという。

「お金を加害者に出すなら被害者にももう少し出して」

 犯罪被害者や遺族たちが直面する厳しい現実。再結成された「あすの会」のメンバーで、1997年に起きた連続児童殺傷事件の遺族でもある土師守さんが、5月16日に取材に応じた。

 (土師守さん)
 「私たちの子どもの事件の時っていうのは、被害者は刑事訴訟法では忘れられた人、単なる証拠品扱い。犯罪被害者等給付金法は“見舞金”という性格ですので、本当の意味での経済補償ではない。再犯防止にかかる予算を削れとは思わないですし、大事なことは(お金を)加害者に出すのであれば、被害者にももう少し出してくれと」

 加害者の多くは刑務所での服役を終えるとまた新たな人生が始まる。しかし被害者はいつまでも事件を引きずって生きていく。当事者たちは「この現実を知ってほしい」と訴えている。