「後遺症の治療薬」になるかもしれない希望の光

 コロナ後遺症は明確な治療方法が未だ確立されていない。後遺症外来では漢方による対症療法や針治療など手探りの診療が続いていた。そんな中、希望の光が灯った。

 (東京慈恵会医科大学・ウイルス学講座 近藤一博教授)
 「うつ症状が改善されたということを指標に、『ドネペジル』という薬が新型コロナウイルスの後遺症に効くのではないかと」
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 東京慈恵会医科大学では、けん怠感やうつ症状などコロナ後遺症の症状を持つマウスに、認知症薬「ドネペジル」を投与する実験を行ったところ症状の改善がみられたという。

(東京慈恵会医科大学・ ウイルス学講座  近藤一博教授)
「けん怠感というのはマウスを泳がせて泳いでいる時間を見るんです。(けん怠感があると泳ぐ時間が短くなりますが)ドネペジルを投与すると泳いでいる時間が普通と変わらなくなるので、倦怠感が取れたという判定ができます」

現在は複数のコロナ後遺症外来でドネペジルの治験が始まっている。

 (東京慈恵会医科大学・ウイルス学講座 近藤一博教授)
 「ドネペジルっていう薬は認知症の薬として非常によく使われていて安全性もわかっているので。人間で試してみるっていうことが非常にやりやすい薬なんです」

 対象となるのは1年以内に新型コロナウイルスに感染した後遺症患者。治験がスムーズに進めば、再来年度中にも実用化できる可能性があるという。