女性候補に立ちはだかる壁
松岡さんのような、子育て中の女性候補者を支援している人がいる。田村真菜さん(34)。田村さん自身も子育て中の選挙を経験し、高いハードルを感じたひとりだ。
立候補したのは2022年の参議院選挙。
当時3歳の子どもをやむなく連れて遊説したことが「18歳未満は選挙運動することができない」と明記する公職選挙法に違反するのではとの批判を浴びた。
田村真菜さん
「『子どもを利用するなんておかしい』という意見もあれば、『預けられない候補者は管理能力がない』とか、サポートがある人が立候補することが前提になっている。私自身も公認を取るまでにいくつかの党と面談させてもらったが、24時間家族のサポートが得られるのか面談で聞かれたり。子どもはもう産まないですよね?と聞かれたこともあった」

その後、子育て中の女性候補を支援する「こそだて選挙ハック!プロジェクト」の立ち上げに加わり、子連れ選挙の環境整備などを訴えてきた。
あいまいになっていた子連れ選挙のルールについて、総務省は2023年3月に見解を発表した。その中の事例では、子どもを同行させているだけなら問題ないとされた。だが、一緒に「ガンバロー」コールをするなど、子どもが投票を働きかける行動をした場合は公職選挙法に抵触する恐れがあるとされた。

ただ、子どもが親のマネをして手を振ってしまう恐れなどから、結局同行させられないと話す女性は多いという。
産後2か月の松岡さんもハードルを感じた場面がある。
総務省の見解では「選挙カーに乗せて授乳することは問題ない」との認識が示されたが・・・
松岡さん
「制度は一応大丈夫となっても、実際どうなのと思うものはある。そういう人が立候補するなということですよね、きっと」
それでも、松岡さんは初当選を果たした。今後の市議活動でも日常の生活の延長線で政治に関わる姿を示していきたいという。
松岡さん
「無理させたくない、子どもたちにも。普通の日常の中に選挙があっていい」

今回の統一地方選挙では 各地で女性の当選者数が過去最多を更新。市議選(政令市除く)では初めて女性の割合が2割を超える結果となった。しかし、女性の人口比(51%)に対してバランスが取れているというには程遠い。