●鬼滅、エヴァ、進撃、花の慶次、鬼太郎、セーラームーン、タッチまで

(大幡)「寺のインスタグラムには載せているんですが、ツイッターはありません。でも一般の方の投稿で年に1回ぐらいはバズってまして、大きくバズったのが2020年10月の鬼滅の刃で、“老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ”ですね。作品を知らないご高齢の方からも“いい言葉だね”とご好評を頂くこともあります。」

●いくつかあじわいを聞いてみた「まだ僕には帰れるところがあるんだ」…帰れるところってどこ?
(記者)『火垂るの墓』の「なんでホタルすぐ死んでしまうん?」はどんなあじわいですか?
(大幡)
「この疑問は結局は生き死にの話で。なんで死ぬのかというのは、仏教的な問いでもあるんですよ。生まれてきたからこそ死というものを必ず迎えなければならない。諸行無常という仏教の教えをあじわえます」
(記者)
『銀河鉄道999』の「どちらかが間違っているなんて言える人はどこにもいない」は?
(大幡)
「中道という仏様の見方が正しくて、僕らの見方は主観が入って、どうしても偏ってしまう。誰かを間違っているとは必ずしも言えないよ、ということです」

(記者)
ガンダム好きとしてこれは聞かねばなりません。初代ガンダムの「ごめんよ、まだ僕には帰れるところがあるんだ。こんな嬉しいことはない」は?
(大幡)
「これは戦いを生き延びた主人公アムロが、仲間の元に帰る場面です。この言葉は、浄土真宗でいうと、命を得て最後はお浄土に帰るということです。死んで終わりの命と思えば、全てそこで終わりかもしれません。でもこの命に帰れるところがあると思えばこそ、安心して精一杯の人生を歩める。帰れる場所があるのが嬉しいという言葉には、そういうあじわいを見いだせます」
どんな質問にもすらすらとあじわいを語る大幡さんだった。
(大幡)
「あんまり無理やりだとこじつけになりますから、味わいを読んだ人が“そうだなあ”と納得できることが大事だと思います」