■NATO加盟までの流れは?通常1年半~2年も

ホラン千秋キャスター:
加盟申請を行うというフィンランドですが、具体的に加盟までどのようなプロセスを踏んでいくのかみていきます。

まずは、加盟交渉から始まります。▼NATO加盟国と交渉を行い、その▼加盟国30か国の承認があれば次のステップです。▼NATO事務総長の承認を経て、加盟という流れになります。
一般的にはこの加盟までどれぐらい時間がかかるのか、近年、加盟した国々の例を見ていきます。

<NATO加盟にかかった期間>
・モンテネグロ(2017年) 約1年半
・北マケドニア(2020年) 約1年8か月

普通であれば1年半から2年近くかかってもおかしくないプロセスが、フィンランドに関してはどれくらいのスピードで行われるのか。
ロシア政治に詳しい慶應義塾大学の廣瀬陽子教授に伺うと、NATO関係者の話として「NATOにとってもフィンランド、スウェーデンは歓迎したいところ。特例で今年の10月くらいまでには加盟が可能なのではないか」というような話があるようです。半年ほどで加盟ということもあるわけです。

■NATO側「加盟を歓迎」 すでに合同軍事演習も実施

ホラン千秋キャスター:
実際に、NATOの事務総長は既にかなり好感触といったところだそうです。
NATOのストルテンベルグ事務総長はフィンランドのNATO加盟について「歓迎する。スムーズかつ迅速な加盟プロセスを進める」と話したそうです。(5月12日ロイターより)

既にフィンランド軍はNATOと関係があり、5月2日から5月13日までNATOとフィンランド軍が合同軍事演習を行っているので、加盟した後もスムーズに関係性を築けそうです。

■暴走するロシア 国際社会に何ができるのか

井上貴博キャスター:
状況が進んでいくことを望むわけですけど、プーチン大統領のようにある意味で独裁的な国家、そして核を持っている。そういった国が暴発、暴挙に出たときに国際社会が何ができるのか。そのあたり含めてどうご覧になっていますか?

慶応大学特任准教授 若新雄純さん:
まず、これまでフィンランドの辺りのことを“北欧”っていう一括りでしか捉えてなくて、世界地図をちゃんと分かってなかったなと。よく見ると、これだけロシアとひっついてる。島国で生活してる僕らはあまりピンとこないわけですけど、結局、この違いって国境といってもすごい高い壁があるわけではなくて、東京都と神奈川県ぐらいしか物理的にも何もないわけですよね。物理的には手続きすれば行き来できるわけで。
そうなると、ロシアっていうのはマンモス高校に凶暴な番長がいて、その番長がすごい暴走している状態のときに、若い生徒会長が中心になって新しい活動をしていた高校的なフィンランドとしては、どこの影響も受けたくないっていうのもあると思うんですけど、脅威が迫ってくると思うんですよ。

ロシアについて今回分かったことは、自分たちが強いだけでは気が済まない、周りも全部やっぱ支配したいという気持ちを今でも持ってるってことを再認識したと思うんです。NATOはNATOで、これも詳しい先生に教えてもらったんですけど、ドイツとかキャラが濃いところや色が強いところがあるわけで、何でもかんでも一緒になればいいってことじゃなかったんでしょうけど、こうなってくると、フィンランドとしては自分たちのカラーを持ちながらもう少し大きな連盟に入ることになってくると思うので、まさにそのヨーロッパっていうのは、これだけロシアという存在を気にしながら、色んな形を変えてきたんだなということを改めて感じました。

井上貴博キャスター:
そうやって考えると、周りを支配したいロシアっていうのは、日本も近い位置関係にあって、同じような考え方を持っている中国も近くにあって、そういった中でどう安全保障を考えていくのか、そういった広い視野でも考えてらっしゃることをぜひ教えてください。

小谷哲男 明海大学教授:
これまで、日本はインド太平洋といってアジアを中心に考えてきたわけですけれども、今回はウクライナで起こっていることがアジアの秩序にも影響があるということが確認できました。同じことがヨーロッパからも言えて、ヨーロッパはヨーロッパのことを考えていたわけですけれども、やはりアジアで何が起こるかということがヨーロッパにも大事だということが確認されたということで、今後、アジアとヨーロッパの民主国家の間でより安全保障に関する協力が深まっていくだろうというふうに考えられます。