「障害者の単独利用割引」当事者たちの思い

それでは、一人で行動できる障害者が鉄道の公共交通機関の割引が受けられるべきだと考えるのはなぜなのだろうか。
まずは、当事者でもある山口さんに聞いた。

山口さん
「一人で行動できるのに割引の提供を求めていることは『わがまま』と言われるかもしれないが、割引を求めるだけの金銭面での苦労や就労面での苦労など複雑な事情があるので、理解してほしい」

山口さんは障害者用のハローワークに紹介された50社以上の企業に応募したが、全て落ちた。
昨年秋、ようやくのことで定職に就けたが、年収は120万円程度だ。現役世代でも受け取れる障害年金を月8万円ほど受け取っているが、それでも同世代の平均年収には遠く及ばない。

障害者団体にも話を聞いたが、意見は分かれた。

ある障害者団体
「一人で鉄道に乗れるのであれば、自立しているということなので普通運賃を支払うのは正しいと思う」

別の障害者団体
「『一人で歩けるじゃないか。それで割引はおかしい』と反発する人もいると思うが、障害者には多くの金銭的負担があるので、平等を考えると、障害者が単独で障害者割引で鉄道を利用することは不平等ではないと思う」

当事者の間でも、意見は割れている。ただ、障害者の単独利用でも割引を認めてほしいという人たちは、障害者が置かれた経済的な苦境をその理由にあげた。