■今後のロシアの目的は? 勝利宣言を出せなかった理由

ホランキャスター:
軍事パレードでは、特に勝利宣言などもなかったということで、今後ロシアとしては、何を目的に、どこまでがゴールだと設定していると思われますか。

小谷教授:
ドンバスについては、これまでよりも勢力を広げなければならないということだと思います。また、南部のヘルソンですね。これはクリミアの水源としても重要ですけれども、今のところ南部では、比較的ロシアが優勢な状況ですから、やはりこの南部ヘルソンとクリミアをしっかりと押さえる。その一方で、ドンバスでの勢力をできるだけ広げるのが当面の課題になるだろうと思います。

井上貴博キャスター:
そうすると、ドンバス地方、ロシア国境沿いを抑えることさえできれば、そこで終止符を打とうとなるのか、ここで終わってくれるのか。どうご覧になっていますか。

小谷教授:
ドンバスをある程度抑えることができれば、「勝利宣言」を出すということはできると思いますので、まずはそこを1つの区切りと考えている可能性はあると思います。ただ、それだけで終わる可能性というのは、なかなか考えにくいので、体制を整えれば、キーウを再度囲い込むことも考えるかもしれません。

井上キャスター:
うまくいっていない状況の中で、欧米の分析として軍を増強しなければならないのではないか、動員をかけるのではないか、というものがありました。そこから逆算すると、9日に戦争宣言になるのではないかと言われていた中で、そこに踏み込まなかったのは、プーチン大統領の考えとしては何があると分析されていますか。

小谷教授:
やはり、「西側から先に言われてしまった」「先手を打たれてしまった」というのが大きかったんだろうと思います。9日に宣言してしまえば、まさに「西側に自分の手の内を読まれている」ことになりますから、9日は言えなかったんだろうと思います。
けれども、ただウクライナの軍備の増強が進んでいる中、1週間、2週間と待てば、ロシアがさらに不利になっていくと思いますので、どこかの段階で軍の増強を宣言してもおかしくないと考えています。

井上キャスター:
そうなってくると、欧米は先手先手を打って情報を出し続けると、プーチン大統領はやはり嫌がるということでいいんですか。

小谷教授:
そうですね。やりたいことを遅らせることで、新たな情報戦を展開していると考えられます。