2023年2月、総務省が家計調査ランキング(※)を公表しました。
青森市はラーメン外食支出額が全国5位、カップラーメン支出量が全国2位と、いずれも高い順位を記録しています。

そんなラーメンの街ともいえる青森市。
その青森市で古くから親しまれているラーメンの1つが「味噌カレー牛乳ラーメン」です。“味噌・カレー・牛乳”の組み合わせに、初めはえっ!?と驚くかもしれませんが、このラーメンが織りなす絶妙な旨みとコクは、青森市民のみならず県外の観光客からも人気を博しています。

そんな味噌カレー牛乳ラーメンのルーツを探るべく、青森市で味噌カレー牛乳ラーメンを提供しているお店「味の札幌 大西」に伺いました。

お店の前には“元祖 青森発信 味噌カレー牛乳ラーメン”の旗が。

店内にはカウンター席・テーブル席・座敷席があり、この日も開店と同時に来店したお客さんで席が埋まっていきます。

早速、味噌カレー牛乳ラーメンを注文し、運ばれてきたのがこちら。

味噌カレー牛乳ラーメン

少し白色がかった黄色のスープは、味噌をベースにカレーの風味と牛乳のまろやかさが感じられ、食感の良い中太麺と相性がばっちり。具材はもやしやチャーシュー、わかめなどがたっぷりと乗っています。更に食べている間に溶け出したバターがより濃厚な旨みを演出。絶妙なバランスの取れた味に、県内外からの人気も納得の一品です。


…それにしてもこの組み合わせ。
一体誰がどのようにして考えたのでしょうか?

お話を伺ったのは「味の札幌 大西」の前身である「味の札幌」創業当時を知る、大西みつえさんと、大西クリエイト株式会社・味の札幌 大西 代表取締役社長の須郷有香さん。

大西みつえさん
須郷有香さん


「味の札幌」創業当時 ラーメンは120円だった!?
大西みつえさんによると、「味の札幌 大西」の前身となった「味の札幌」が創業したのは1968年。当時のメニューは味噌ラーメン・塩ラーメン・醤油ラーメンの3種類で、なんと一杯あたりの価格は120円だったそう。


味噌カレー牛乳ラーメンの発祥

・きっかけは、高校生の遊び心?
1970年代、「味の札幌」は本店と松竹店の2店舗で営業を行っており、特に松竹店は学生に人気の店舗でした。

須郷有香さん「当時の高校生たちの間で、ラーメンに色々混ぜるのが流行ってたみたいで、自分たちで持ってきたケチャップやマヨネーズ、コーラとかをラーメンに突っ込んで食べていて。その中で、ある人が店のメニューを混ぜて作った組み合わせが“味噌カレー牛乳ラーメン”だったんです。で、店の人も食べてみて、これは美味しいなってなったのがはじめのきっかけだと聞いてます。」

その後、材料の配分などを調整し、“味噌カレー牛乳ラーメン”は商品化。

須郷さん「昔ほどではないみたいだけど、今でも学生のお客さんは多いです。学割もあって100円引きになるので、テスト期間とかで学校が早く終わるときに食べにきてくれたりして。お昼時はサラリーマンのお客さんも多いので、テスト期間はお店が混み合いますね。」

味噌カレー牛乳ラーメンが誕生し、約50年。今でも「味の札幌 大西」は学生の集いの場所の一つになっているようです。


味噌カレー牛乳ラーメン 味のこだわり

須郷さん「名前だけきくと、たぶん牛乳っていうところでゲテモノ感があるってよく言われるんです。だけど、牛乳で味をまろやかにして全体のバランスを取っているのもあって、牛乳嫌いの人でも食べられたりするので、その配分が崩れるとダメなのかなって思いますね。カレーが強すぎるってこともなく、味噌とカレーと牛乳の3つでバランスを取っています。」


須郷さん「こだわりっていうよりも“先代が作ったものを守る”っていうので、うちはアレンジとかをあんまり加えてないです。当時のままっていうか、基本的に昔から味を変えずにやってます。工程を目で見て、実際にスープを飲んでみたりして話をしながら、味を引き継いでいくようにしています。」