熊本元裁判官のパートナー 島内和子さん
「無罪の人は顔見れば無罪間違い無いって言ってましたからね、最初から。だから自分が判決文を書いているから、申し訳ないと言ってましたね」

――もしこの結果を一緒に聞いていたら?

熊本元裁判官のパートナー 島内和子さん
「きっと泣き出しますね。すごく涙もろいから。すぐ泣くと思います。きのうもずっと泣いてたんじゃないかと思います」

「裁判所に検事はベストエビデンスしか出さない」

「袴田事件」の再審請求が始まってから、実に42年。再審の可否を決めるための審理に、時間がかかりすぎるとの声があがっている。

映画監督 周防正行さん
「検察への怒りというのは当然ある。ただ、それは検察官一人一人への怒りではなく、検察という組織そのものへの怒りです」

審理が長引く理由の一つは、「証拠開示」のあり方だ。

再審についての審理では証拠の開示に法的な義務はなく、弁護側が請求しても、有罪を維持したい検察は応じず、年月ばかりが経過する。

袴田事件の場合、静岡地裁が検察に勧告し、40年以上伏せられていた多くの証拠が開示された。取り調べの録音テープや供述調書など、その数は約600点に及ぶ。

袴田事件弁護団 小川秀世弁護士
「これ検察官が持っていて出さなかったものですから、結局、みんな弁護側にとって有利な証拠ばかりなんですよ。警察・検察が最初からそれを分かっていて隠していたということ、裁判所を騙したということですよね」

裁判官として30件以上の無罪判決を確定させた木谷明さんは・・・

元東京高裁判事 木谷明弁護士
「裁判所に検事はベストエビデンスしか出さない。バッド・ワース・ワーストの証拠は全部隠して良いという風になっちゃってるんですよ。証拠開示の規定を作らなければいけなかった。それができていないということが最大の問題ですね」