このところ海外の映像をみて、あれ、誰もマスクしてない、と驚かれた方も多いのではないだろうか。夏に向け、マスクを外す動きが世界では進んでいる。

日本でも、山際コロナ担当大臣が「オープンエアで外にいるときにはマスクはいらない、というのはその通りだと思う(4月24日)」と述べ、日本医師会中川俊男会長も「屋外などで十分な距離があるときには、マスクを外す対応を取っていただきたい(4月27日)」と発言。熱中症への懸念などから屋外では“マスクを外す”という選択肢が示され始めた。

とはいっても、コロナ禍で2年以上着用し続けたマスクを外すことに、不安や抵抗がある人は多いのではないだろうか。なぜ海外では、あんなにもすんなりマスクを外せたのだろうか。

◼︎“脱マスク”が進む海外 ポイントは“義務”

あれ?マスクしてない?!海外で進む“脱マスク”


日本に先んじて、マスクを外す動きが加速している海外。アメリカでは、全州でマスク着用の義務が撤廃され、4月18日には飛行機の中での着用義務もなくなった。イギリスでは1月、屋内公共施設での着用義務が撤廃された。フランスは3月中旬に飲食店などで撤廃。韓国も5月から屋外での着用義務を解除した。

なぜ海外ではマスクを外す選択肢が比較的スムーズに受け入れられているのだろうか?TBS岡村仁美アナウンサーは、2020年夏から2022年2月までイギリス・ロンドンで生活していた。イギリスと日本ではマスク事情に大きく2つの違いがあると感じたという。

岡村アナウンサーは2022年2月までイギリス・ロンドンで生活した


岡村仁美アナウンサー
「まず、イギリスではマスク着用が“義務”だったということです。なので、マスクをつける義務がある場所、つける義務のない場所についてルールが明確なんです」


日本ではマスク着用は法律で義務にはなっていない。そのためマスク着用が推奨される場所と、それ以外の場所の境界が曖昧になりがちだ。一方、イギリスはじめ海外ではマスク着用を義務と法律で定めていることが多く、境界線を市民が判断しやすいのだという。

岡村仁美アナウンサー
「感染者数が増えてくると、ここではマスクを着けるのが義務です、と指定されます。スーパーだったり、電車やバスといった公共交通機関などではマスクをつけなければいけない、となりました。ですので、スーパーにマスクなしで入ろうとする客には、入り口に人が立っていて、マスクしてください、と声をかけられる徹底ぶりでした。逆に、スーパーに行くまではマスクをする義務がないのでしていない人が多かったです」


◼︎“義務”か?“選択”か?マスク着用のワケ

イギリスでは2022年1月、屋内公共施設での着用義務が撤廃


もう一つの違いは、“個人の選択”と“マスク”の関係だ。

岡村仁美アナウンサー
「イギリスでは、選べるならマスクをしないことが普通だったと感じています。変異ウィルス・オミクロン株が拡大して警戒感が高い時も、ロックダウンをしていた時でも、外を歩く人の多くが義務でない場所ではマスクをしていないことが多かったです。

一方で、日本に帰ってくると感染状況に関わらず、着用の義務もないにもかかわらず、マスク着用を選んでいて、マスクをしていることが当然のようにみえました」


岡村アナウンサーの感じたことを裏付けるデータがある。日本リサーチセンターによると「公共の場ではマスクを着用する」と回答した割合は、日本ではコロナが発生してすぐの段階から高く、2020年3月中旬時点で62%、2020年5月上旬時点で86%(1度目の緊急事態宣言)、2021年1月中旬時点で90%(2度目の緊急事態宣言)と高い水準で横ばいなっている。義務でなくても多くの人がマスク着用を選び続けている。

一方で、同じデータでイギリスは2020年3月中旬時点では2%とマスク着用を選ぶ人は非常に少なかった。しかし義務化以降、2021年1月には74%まであがっている。