検査申込書の“偽造リスト”記載の男性「どこにあるのかも分からない」

本当に無料のコロナ検査が行われていたのか。私達に情報を寄せてくれた人物がメールで取材に応じた。

(情報提供者からのメール)
「薬局の従業員たちは、経営者から個人情報が書かれた大量のリストを渡され、抗原検査の申し込み書を偽造していました。検査していないのに検査を行ったと県にウソの申請をしていたのだと思います」

私たちは別の関係者から検査申込書の偽造に使われたというリストを入手した。そこには数百人もの氏名や住所、年齢、生年月日などの個人情報が書かれていた。私たちはこのリストに書かれた人たちに実際に検査を受けたのか、話を聞くことにした。

埼玉県新座市に住む男性。問題のリストでは毎月3回検査を受けたことになっていました。

ーー抗原検査を受けたことは?

リストに記載がある男性「記憶にないです」

ーー月に3回、ご家族4人が検査を受けたと申請されているが心当たりはない?

男性「そうですね」

リストに記載がある90代女性の住所を訪ねると応答はなく、近所の住民によると、この家には3年以上前から誰も住んでいないという。

さらに入手したリストを分析すると、複数の会社の従業員とその家族の情報がまとめて記載されていることがわかった。その一つ、埼玉県志木市の建設会社。従業員ら約40人分の情報がリストに記載されていた。

ーー埼玉県富士見市の上杉薬局を聞いたことがありますか?

リストに記載がある建設会社の従業員「ないです」

従業員は問題の薬局の名前も聞いたことがないという。会社の役員にも話を聞くことができた。

ーー富士見市にある上杉薬局はご存知ですか?

建設会社の役員「存じ上げないですね。(家族の生年月日などの情報もあるが)全部合ってます。怖いね。ちょっと」

なぜリストに名前があるのか。役員は「詳細を確認する」と話し、後日、改めてこの会社を訪れた。

建設会社の役員「ただ単にびっくりしている。上杉薬局 富士見店か分からないけど(個人情報が)使われているのは納得がいかない。自分だけだったら良いですけど、怒りがすごくありますね」

ーー上杉薬局 富士見店で抗原検査の申し込みをしましたか?

建設会社の役員「していないですね」

ーー経営判断として従業員に検査を受けさせたことは?

建設会社の役員「ないです。ゼロです。間違いなくゼロです。上杉薬局 富士見店がどこにあるのかも分からないので」