■イヌワシを呼び戻す、意外な取り組み
イヌワシを呼び戻すための活動の一つが火防線を復活させる取り組みです。鈴木さんが中心となり2015年から始めました。この日の作業に参加したのは友の会のメンバーやボランティアら合わせて10人。山の尾根にたどり着くと背丈をはるかに超えるやぶが広がっていました。
自治体の許可を得た上で刈り取り、切り開いていきます。ここにはかつて、火防線が整備されていました。
鈴木卓也さん
「昔はここには一切木を生やさずに、山火事が延焼しないようにしていた」
火防線とは一定の幅で木を伐採した帯状のエリアです。この開けた空間が山火事が広がるのを防いでいました。そしてイヌワシにとっても重要な餌の狩場の一つになっていたのです。しかし火防線も、林業の衰退などとともに維持管理されなくなりました。今では、その多くが生い茂ったやぶや雑木に埋もれています。
イヌワシが暮らせる森にするため、そして登山者が利用する縦走路とするため南三陸町の町境におよそ55キロの火防線を復活させる予定です。

さらに翁倉山周辺では国と自治体、それに森林経営の民間企業が協力。イヌワシの生息できる環境の再生と林業活性化への取り組みを始めています。
鈴木卓也さん
「南三陸の空にまたイヌワシが普通に見られるようになるのが一番です。イヌワシが暮らせるようになることは、イヌワシの暮らしを支えるいろいろな生き物の多様性が戻ってきたことの証明にもなる。ぜひそういう南三陸に戻ってほしいですね」
