
保険適用は「必要かどうかで決めることも大事」
ー他にも子ども政策として菅さんが総理のとき、不妊治療の保険適用を実現した。どういった経緯で取り組もうと考えたか
まず、自民党の総裁選挙に出馬するときに色々な方からずっとお話を聞いていて、それ以前からも、不妊治療を保険適用にしてほしいとよく言われていたんです。
「あまりにも高すぎて手が出ない」とか、あるいは「共働きで(助成金の)所得制限があって、1人分がすぐになくなってしまう」とか、色々なことを。
私自身まず、子どもが生まれる、生み育てられる環境を整備するのが政治だと思っていましたので、そういう面であえて自民党総裁選挙に出るときの公約にして。総理になりましたので、すぐ取り組んだんです。
保険適用にするには審議会とか手続きがありますが、それを待つことなくですね、今までの助成金を倍にしたり、あるいは所得制限を撤廃したり、もうそこからすぐに進めてきました。
それで時間を追って保険適用をしたということです。
ー不妊は病気ではないという考え方もあって、保険適用が難しいのではないかという声もあった。ハードルは高かったのでは
それはものすごく厳しかったですよね。だけど保険というのは、必要かどうかということで決めることも私は大事だと思っているんです。
そのために皆さんは保険料、保険をかけているわけですから。
そういう中で、そこまで踏み切らないとこれは何もできなくなってしまいます。必要かどうかということは非常に大事なことだというふうに思っています。
あとはその決め方ですから。役所は言われた通り、そういう(保険適用は難しい)状況でしたけれども、だけど国民の多くの人がこんなに悩んでいて、実際、診療を受けていらっしゃる方もいる。その中で、例えば3年前の数字があるんですけど、新生児が84万人だったんですよね。そのうち約6万人が不妊治療などで授かっているんです。14人に1人なんです。そうしたことを考えたときに、「確かな確証がない」とか役所はずっと言っていたんですけども、それだけの客観的な事実があるわけですから。それは保険というのはみんなで支えていこうということですから、そういう意味で私は全く問題ないということで進めました。そうしたらそれが段々とその通りになってきました。
ー反響は相当あったのでは
びっくりするほどの反響でした。私、保険適用がスタートしたときにネット(SNS)に呟いたんです、始まりますって話を。そうしたらなんと表示が2700万ぐらい数がいっていてですね、「いいね」が50万ぐらいついたんです。私が今まで取り組んできた中で一番反響が大きかったですよね。
ですから、それだけ悩んでいらっしゃる方が多かったんだと思います。
今でも外に行ったときに、選挙応援とか行くとお礼を言おうと思って一番前にきて最後に挨拶に来てくれる人もかなりいらっしゃいました。
現場の声も聞いていますけど、コロナ禍ですけれども、やはり2割から3割ぐらいは治療者が増えているんじゃないかという、そうした声が聞こえてきました。