■洗浄と漂白を繰り返し…魚の皮で革製品を作るまで


富山湾を望み、寒ブリで有名な富山県・氷見市。ここに、フィッシュレザーの工房があります。制作者の野口朋寿(29)さんです。富山弁で魚のことを「トト」と呼ぶことからつけた店名は「トトト」。

早速冷蔵庫から取り出したのが…大量の魚の皮。これらは地元の鮮魚店からタダで貰った物です。フィッシュレザーの加工は皮に残った身を削ることから始まります。


トトト・野口朋寿さん:
身が残るとどうしても魚臭くなってしまうのでこれが一番大変です。

腐敗を防ぐため塩漬けに。その後、小型の洗濯機で2週間、洗浄と漂白を繰り返すと…


ディレクター:
(臭いかぐ)おお!ちょっとレザーに近づいてくるようなにおいですね。

そこに植物由来のタンニンを入れ時間をかけてなめしていくと、魚の皮の薄さからは想像できない強度のレザーが完成します。ここまでおよそ1か月。


トトト・野口朋寿さん:
元々魚がすごく好きだったっていうのもあるんですけど、捨てられる魚の皮がこういった形になるっていうのはすごく自分としてもやりがいがあるなと。最初の頃は本当に失敗ばっかりでした。

これまで様々な魚でレザー作りに挑戦してきました。

トトト・野口朋寿さん:
難しいのはこのウツボ。あとアナゴも。分厚い皮ほどちょっと調整が難しかった

ウツボは野性的に、アナゴは上品な雰囲気に仕上がりました。


一方、この伸縮性のあるゴムのような皮はフグ!実は熊本県にあるフグの卸問屋から持ち込まれたものなんです。


日本では年間およそ530万トンの魚介類が消費されています。しかしそのうち230万トンの魚の皮や骨の多くが廃棄されています。そのため海の資源を有効活用する野口さんの取り組みが今、全国から注目されています。

ふく成・平尾有希専務取締役:
びっくりしました。フグの生っぽい感じも全くなくレザーになって帰ってきたのでトトトさんの技術凄いなと思って

フグの皮で福がくるように…。今、小銭入れを試作中です。

さらに、フィッシュレザーはこんなところでも。
富山県・南砺市(なんとし)にある宿泊型レストランの「レヴォ」。エントランスを照らすのは、フィッシュレザーで作ったランプシェードです。


トトト・野口朋寿さん:
魚の皮が美しいというのが一つあると思うが、活用される場が広がることで廃棄される魚の皮が減っていくことに繋がると思うので、頑張っていきたいなと思っています。