それは東京に出てからのゲンの人生を描こうとしていた「続編・はだしのゲン」でした。
しかし中沢さんはもう漫画では…伝えられません。
「目がダメなら口で伝える。生きて、生き抜く」
「目が、悪くなってね」
糖尿病にかかり30年ー
「原爆症の人に多いんだよ」
「ケロイドあるし。命の心配はしてきたよ」
それでも、中沢さんはあの日を伝えます
「目が駄目だったら今度は口で伝えようかなと思うし。お前は生き残って伝えろよと言われたような気持ちがして。許すもんかと、僕は死ぬまでやっぱりこだわり続けていきたいと思います」
「生きて生きて生き抜くというのは、人間に課せられたものです」

中沢さんは2012年にこの世を去るまで、核廃絶を訴え続けました。
その後世界では2017年に核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にノーベル平和賞が贈られるなど核軍縮を願う市民の声が世界に届いています。
その一方で国家のレベルでは、3月1日、ウクライナに侵攻したロシアはアメリカとの核拡大の歯止めとなっていた「新START」=新戦略兵器削減条約の履行を定めた法律を作りました。
また日本は2021年に発効した「核兵器禁止条約」から距離を置いたままです。
原爆とは何だったか・・・中沢さんが託した絵と言葉の数々は次世代の私達への重い松明として受け継がれています。
(画像協力:汐文社)