クリミア奪還でなく“孤立作戦”も
ウクライナ陣営から長距離、それも空からの精密爆撃能力をウクライナが得た場合どんな作戦をとるのか…
英国王立防衛安全保障研究所 日本特別代表 秋元千明氏
「南部がウクライナにとって、最も大切なわけで、西側が供与する高性能の戦車321台は、すべて南部戦線に投下する。そして、旧ソ連製の戦車は、東部戦線で相手を蹴散らすために使う。さらにクリミアについて、最近、西側で議論されているのは、軍事的に全面攻撃するのでなく、クリミア内の重要な軍事基地のセバストポリの海軍基地、サキ空軍基地、ドローンを飛ばす基地、弾薬の備蓄基地を長距離兵器でまとめて攻撃して軍事能力を、クリミアから一掃する。それと同時に、クリミア橋を破壊するとともに、ヘルソン州との境界を機能不全にして、補給できないように完全封鎖し、クリミアを孤立化させるという作戦です。とにかく、こうやってロシアが、手も足も出ないようにすることです」

孤立化作戦が議論されている背景には、クリミアには、ロシア系住民がいることや、ロシアの軍事的な重要拠点があることから、ウクライナが奪還を狙っても、大変な犠牲が出るだけで、費用対効果がないと読んでいるからのようだ。
和平案や奪還案、そして今回の孤立案と、様々な議論はあるようだが、ひとつ確かなことがあるという。ロシアにとって、現状維持はないということだ。
英国王立防衛安全保障研究所 日本特別代表 秋元千明氏
「侵攻前のロシアと、今のロシアの軍事的プレゼンスの意味が違うんです。戦争が終わっても、ロシア軍がクリミアに居座り続けると、黒海を使って、西側は様々な貿易をするんで安心できない。安心感のためにも、ロシアを動きが取れないようにしなければならないのです」
(BS-TBS 『報道1930』 2月27日放送より)