「NATO、羨ましいなぁ…」

ポーランドの首相はすでにミサイル搭載用に改修した旧ソ連機を供与する用意があると表明。因みに保有数は61機ある。また、11機を提供するスロバキアの首相は「ウクライナを救うのは、国内で退役したミグ戦闘機だ」と語った。こうした支援を加速させているのは、“NATO領空警備”という規定と、東欧で進む“西側戦闘機への置き換え”だ。

スロバキア領空の防衛がポーランドとチェコに移管されたように、NATOでは、戦闘機保有国が、非保有国の領土を守る集団防衛の枠組みを設けている。更に、東欧諸国では、所有していた旧ソ連製戦闘機を、次々退役させている。ポーランドはすでに、アメリカ製F-16を48機保有していた。

英国王立防衛安全保障研究所 日本特別代表 秋元千明氏
「日本と大きく違う。例えば、対潜水艦の哨戒も、防空警備も、NATOは分担して、得意な分野を担っているんですね。NATO域では、防空警戒レーダーにしても、NATOが運営していて、各国が個別にやってるわけじゃない。ひ弱な国があれば、他の国が守る」

元陸上自衛隊東部方面総監 磯部晃一氏
「元米軍高官から言われた話なんですけど、日本は凄いと。自衛隊は、24万人しかいないのに領海、領空警備、いざとなったら地上部隊が島々に行く…。日本というのは、リマーカブル(非凡)だと。日本は自前でやるしかなくて、いざという時は、米軍に援軍を求めるわけですけど…。NATOは、持ち場持ち場で得意なところをやってる。羨ましいなぁ、っていうのが、実は私の率直な印象ですね」

クリミア全体が脅威にさらされる、長距離攻撃能力を、ウクライナが持とうとしていることを、プーチン大統領も既に知っているはずだ。

防衛研究所 兵頭慎治 政策研究部長
(プーチン氏にも脅威になるのでは?)「そう思います。アメリカは戦闘機の供与と、射程300キロのミサイルの供与は、今も否定的なんです。そこを、イギリスとか、ポーランドとかが率先してやる。上手く考えたな。今後、アメリカの慎重姿勢を変えさせていく意図が、イギリスにもポーランドにもあると思う。だから、プーチン大統領からすると、かなり警戒はしている…」

国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏
「アメリカが先陣を切るわけではなく、また、常に及び腰のドイツが先陣を切るわけでもない。その代わりに、イギリスとポーランドが、呼び水的な発言や、実際の供与を行う。ここでも(防衛を分担しているように)NATOの役割分担がされていて、引いて見ると、仕組まれた芝居じゃないかと…。まぁ、そこがNATOのある種の柔軟性。機能性の高いところかと…」