大阪に一人で避難することを決めた16歳のハンナさん

日本への避難を希望し続けるもなかなか叶わない人もいます。16歳のソロヴェイ・ハンナさん。去年4月から家族とともにポーランドに避難しています。ハンナさんが暮らしていたのはウクライナ南部のヘルソン州。侵攻1週間後にはロシアの支配下に置かれました。それからは学校にも通えず、恐怖に怯えながらの生活でした。

(ソロヴェイ・ハンナさん)
「食料品を買いに店に入ろうとすると、そこにロシア兵が立っていて、機関銃をウクライナ人の買い物客に向けていました。私が携帯電話を取り出して撮影しようとしたら、ロシア兵は私の方に銃口を向けてきました。彼らがその気になれば死ぬところでした。泣いちゃうわ…」
家族とともにポーランドに避難したハンナさん。元々日本文化に興味を持っていたため、家族の中で1人、日本への避難を希望しました。
(ソロヴェイ・ハンナさん)
「(Qなぜ一人で日本に来ようと?)お母さんと一緒に来る選択肢はあったけど、おばあちゃんがいるので、どうしてもお母さんが残らないといけないので、1人で来ることにしました」
家族の後押しもあり日本での受け入れ先を探しますが、身元保証人が見つからず、実現には至りませんでした。

ハンナさんとビデオ通話でやりとりをするカヤさんは、SNSなどを通じて避難民たちのサポートを大阪でしています。ハンナさんとSNSで知り合ったカヤさんが「なんとか支援できないか」と仲間に持ちかけ、身元保証人とホームステイ先を確保。渡航を希望してから8か月、ようやく来日が決まりました。
そして今年2月21日の羽田空港、ハンナさんが日本にやってくる日です。
(ソロヴェイ・ハンナさん)
「こんなにたくさんの人に出迎えられてうれしいです。緊張しているけど来られてよかったです」
ここまで18時間の長旅。さらにここから3時間かけて大阪に向かいます。
(ソロヴェイ・ハンナさん)
「(Q日本語はどれくらい勉強した?)これからがんばります」

一方、ハンナさんを受け入れる大阪府柏原市のホームステイ先の櫻井砂千子さん。20年にわたるアメリカでの生活経験から、初めて異国で暮らすハンナさんを支えるつもりです。
(櫻井砂千子さん)
「ハンナのほうがたぶん緊張しているんじゃないかなと思います。私も全然ウクライナのことがわからないので、それを彼女から学びたいなと」

そして、ハンナさんがやってきました。
(ハンナさん)「はじめまして」
(櫻井さん)「はじめまして。こちらが私の母と妹です」
(ハンナさん)「私はハンナです。よろしくお願いします」
(櫻井さんの母)「よろしくお願いします」
(櫻井さん)「何か飲み物はいかが?」
(ハンナさん)「お茶をお願いします」

ようやくたどり着けた日本。ハンナさんの表情も緩みます。カヤさんも駆けつけました。
(ウクライナ避難民を支援するカヤさん)
「何もなく無事に来られて良かったと思います。来るまでドキドキだったけど、やっとホッとした感じ」
ハンナさんは今後、1年近く通えていなかった高校への通学に向けて、新たな生活を始めていきます。

(ハンナ・ソロヴェイさん)
「このような広々としたところで落ち着いて暮らしていけるので、どんな困難があっても、なんとかやっていきます」