■危険あるなら中止は海の常識

ホラン千秋キャスター:
27日の会見についてどのような印象を受けましたか?
萩谷麻衣子弁護士:
安全管理体制が杜撰な船に自分の家族が乗せられていたのかと思うと、ご家族の怒りのやり場がないだろうなと思います。
通常の安全管理規程の中では船長、運航管理者、安全統括管理者と3段階のチェックが入るようですが、この会社では航行中止の判断を船長と運航管理者が兼ねていて、社長が安全統括管理者をやっています。また、安全管理規程では、出航前に航行中の遭遇する気象を確認して、出航中止基準に達する恐れがある場合には、出航中止をしなきゃいけないところが多いので、条件付きはあり得ないです。また、船長に重大な判断が任されているところから見ると、船長になるための経験年数の基準を設けて欲しいなと感じます。
ホランキャスター:
安全管理規定に数字が明記されていなかったということは、現場では"なんとなく"の感覚で判断を下していたということなんでしょうか。
東海大学海洋学部 山田吉彦教授:
別表に定めてあったりする場合もありますが、おそらく桂田社長が安全管理規定の内容を知らなかったんじゃないか、細かいところまで見ていなかったんじゃないかと思います。実は「波の高さ」って目視なんです。船長の感覚で2m、3mと決めているんですが、それ自体、桂田社長は全く理解できないと思います。船長に委ねっぱなしで、しかも船長には「とにかく出航しなさい」という指示であったと考えられます。まずは、危険があると想定されたら航海はやめるというのが、海の常識です。条件付きというのはあり得ないです。