■東京2025世界陸上競技選手権大会(20日、国立競技場発着)

女子20㎞競歩が行われて、藤井菜々子(26、エディオン)が銅メダル獲得。日本新記録の1時間26分18秒で世界陸上、オリンピックを通じて日本競歩女子史上初となるメダルとなった。

優勝はM.ペレス(29、スペイン)が35㎞に次いで金メダル、世界陸上初となる2大会連続二冠となった。6大会連続の世界陸上となった岡田久美子(33、富士通)は1時間30分12秒で18位、大学生ウォーカー・柳井綾音(21、立命館大)は1時間35分44秒で37位だった。

女子20㎞のコースは国立競技場のトラックを約3周半してから競技場を出て、聖徳記念絵画館の近くから銀杏並木を巡る1周1㎞の周回コースを18周した後に、競技場に戻る。35㎞競歩から北の折り返し地点及び南の折り返し地点が約80m南に移動した。

2026年から世界大会の20㎞競歩はハーフマラソンと同じ21.0975㎞に距離が変更されるために20㎞は今大会が最後となる。直近の世界陸上、オリンピック™と世界大会の女王たちが出場、日本からは藤井、岡田、柳井の3選手がメダルに挑んだ。

気温21.3℃。湿度91%と涼しい気象条件、スタート前には日本の3選手が会話しながら並んで歩き、国立競技場の観衆に向かって笑顔で手を振る姿も見られた。

スタートから飛び出したのはパリオリンピック™金メダリストで世界記録保持者の楊家玉(29、中国)、その後ろに藤井がついていった。岡田、柳井は中団でレースの展開を伺った。

2㎞付近では世界陸上オレゴンで20㎞、35㎞の二冠のK.ガルシアレオン(31、ペルー)が先頭を引っ張る形、藤井は序盤の給水は取らずにしっかりついていった。3㎞では岡田が20位でトップと8秒差、柳井は32位で14秒差となった。

ハイペースとなった5㎞付近で、トップ集団に付けている藤井は計算した給水で周回コースの偶数周回でスペシャルドリンクを補給していた。6.5㎞で先頭はM.ペレス(29、スペイン)、A.パルミサノ(イタリア)と35㎞競歩の金・銀コンビがレースを引っ張った。

ペースが上がり始めた8㎞では先頭集団が7人、藤井は落ち着いてレース展開を伺ってついていった。10㎞でトップ集団は8人、35㎞競歩の銀メダリストのパルミサノが遅れ始め、藤井は1枚の警告を受けてしまった。警告は3枚受けると2分間ピットレーンで待機、4枚受けると失格となる。

それでも12㎞でも藤井は慌てずに先頭集団についていった。サバイバルレースとなった展開、徐々にペースが上がり始めて14㎞付近で先頭は5人、藤井はこの中にしっかりついていった。

15㎞では先頭は4人、藤井はメダル争いに加わった。そして、15.3㎞では世界陸上オレゴンの二冠・ガルシアレオンを抜き、藤井は3位へ上がった。メダル争いはペレス、A.ゴンザレス(26、メキシコ)、藤井に絞られた。

16㎞で35㎞の金メダリスト・ペレスがスピードを上げて徐々に距離を離していった。3位で追う藤井だったが。17.8㎞付近で2度目の警告を受けてしまった。2位・ゴンザレスとの差はわずか2秒。

周回コースラスト1周、藤井は2位のゴンザレスを追っていった。コーチ陣からは警告に注意しろという掛け声が飛んだ。4位のガルシアレオンも10秒差で藤井に迫っていた。

国立競技場に戻ってくると、5位のP.トレス(24、エクアドル)が驚異のスパートを見せて一気に追い込んできた。トラックに入ると、トレスが迫り、藤井が逃げる形、2枚の警告を受けている藤井はカードにも気を付けながらトレスのスパートから逃げた。

残り10mでギリギリに迫られると、藤井は何とか逃げ切り、1時間26分18秒の日本新記録で日本史上初の銅メダルを獲得した。

レース後、藤井は日本新記録に「全然気づいてなかったんですけど、まさかこの大会でベストがでるとは思ってなかったのですごくうれしいです」と笑顔で話し、「今大会は本気でメダルを狙って、勝ちに来たので、その通りになったというか、自分の思い描いたレースが出来たので大感激です」と振り返った。

最後の大接戦には「この順位で競技場に入ったことも嬉しかったですし、思ったより人がたくさんいて、うわーーってなったのが本当に気持ちよかったです」ち口にし「いつも男子がメダルを取っていて女子はまだまだと言われてきたので、必ず私が取るっていうふうにきょうまで練習してきたので次の大きな一歩に踏み出せたかなと思います」と語った。

【女子20㎞競歩 結果】
金)M.ペレス 1時間25分54秒
銀)A.ゴンザレス 1時間26分06秒
銅)藤井菜々子 1時間26分18秒
4位)P.トレス 1時間26分18秒