プーチンの弱点 勝利にとって必要なことで、まだ未解決の問題
ーー特別軍事作戦を開始したプーチンは良い方(太陽のプーチン)に“変化”したということですか?
そうじゃなくて、プーチンは自分の良い側面を発揮したのです。
ーー特別軍事作戦開始後のプーチンに関するご意見をできれば分かりやすく述べてください。「月のプーチン」は決断力が足りないと伺ったが、もう少し具体的に教えていただけませんか?
1990年代~2000年代の間に欧米はロシアのエリートを変えました。そのエリートの中に多量の親欧米のリベラル派を投入したのです。彼らは90年代に事実上、ロシアを支配し、プーチン政権下でも自分の地位を守れたのです。
上記のエリートとの関係はプーチンの政治的な弱点です。親欧米のリベラル派エリートは反国民的です。特別軍事作戦を開始してから大統領はそういったエリートを排除する必要がありました。フリドマン、アーヴェン、チュバイス、マオといったオリガルヒは有力な政治家でもあり、国を支配しましたが、彼らは逃げました。
しかし、逃げていない(オリガルヒ)のほうが多いです。自由にふるまい、社会を効果的に動員するためには彼らを排除し、社会の本格的な思想総動員を始めるべきです。
これは実現されつつあるが、時間がかかりすぎて、後退したりもします。一部の人は社会・経済における自分の地位を維持し、動員に反対しており、勝利を妨害している。
プーチンはそれに気づいていないと思えないが、これは90年代の遺産です。これはプーチンの問題であるというよりも政権の問題です。プーチンは主権国家を構築したが、リベラルな欧米の影響下にある病巣を排除しませんでした。
しかし今の危機的な状況下でその病巣は大統領に対し忠実ではなかった。一般国民と国家の味方、つまり「太陽のプーチン」の味方になる人もいるが、そうでない人もいます。これがプーチンの弱点です。
彼の身体的健康、精神的健康、決断力、意志、国内のすべてのプロセス、そして戦闘の責任感のある管理、すべてが理想的です。彼の病気や迷いはでっち上げです。構造的な制限は存在しますが、すべて(の問題は)この制限によるものです。90年代に形成された政治、経済、文化、イデオロギーに於ける我が国の外部統治はまさにアウゲイアースの家畜小屋であるが、プーチンはその掃除にまだ手を付けていません。
彼は別の偉業に集中しています。アウゲイアースの家畜小屋は少しずつ、自然に浄化されていきます。これは勝利にとって必要なことであり、まだ未解決(の問題)です。(前編、後編を読む)