プーチン氏の二面性「西側は見えていない」
オリガルヒに頼るプーチン、欧米の価値を認める、というか特別軍事作戦開始前に認めていたプーチン、ロシアは欧米社会、欧米の文明の一部であるという論文を書いたプーチン、経済は命(ほど重要)なので貿易はすべての問題を解決してくれるものだと思っているプーチン、自由主義者デマゴーグで、親欧米派で汚職まみれのソブチャクをサポートしたプーチン、愛国心や道徳、ロシア主義を無視する人物に囲まれたプーチンも存在します。
この(月(陰)のプーチン)もずっと存在していました。彼は欧米と交渉し、2014年ウクライナでの親ロシア派騒乱を中止させ、ミンスクの交渉に参加し、残念ながら特別軍事作戦が行われている今でも存在しています。
遅れた、または実現しなかった人事異動、オリガルヒの過大評価、欧米のパートナ国に対するナイーブな期待、思想総動員が行われていないことが(その証拠です)。特別軍事作戦が始まってからも「月(陰)のプーチン」がそのまま存在しているし、その損失に責任があります。

グローバルな規模で展開される特別軍事作戦は多極世界と一極集中世界の戦いである。ローカルなレベルではこれはキエフのナチ政権、ウクライナでの軍事化とナチとの戦いである。もう一つの戦争は、大統領の中の戦争です。太陽(陽)と月(陰)といった2つの側面が消えたわけではなくそのまま存在し、お互いにすれ違っていて、正反対である。
現在は太陽のほうが優位になっているが、月(陰)の存在によって人事異動ができず、汚職まみれの反ロシアエリートを捨てきれなくなり、しかるべき愛国主義的な改革を軽く済ませようとし、社会の動員を回避しようとします。
繰り返しになるが、プーチンの中にデュアリズムが存在します。欧米には「太陽のプーチン」しか見えません。愛国者である私にとってこの(太陽の)プーチンは親しい存在であり、精神的に近い存在でもあります。プーチンとはいかなる関係を持っていないので、「精神的に」近いのです。
欧米には「太陽のプーチン」しか見えず、欧米はこの太陽のプーチンのことを嫌っています。「月のプーチン」は国内(の人には)見えています。私たちに彼の内面が見えます。彼の迷い、優柔不断、十分でない社会の動員、矛盾した行動や人事が私たちに見えています。
しかしながら、70%~80%を占める大多数は、特に戦時下ではそうだが、大統領を中心に団結しています。プーチンは我々のリーダーであり、「太陽のプーチン」として認識されます。その意味でロシアの社会の中にいかなる疑問や分断はありません。

プーチンの周りにいるリベラル派、リベラルと言ってもすでに特別軍事作戦の支持者になったが一般国民を恐れているリベラル派は「月のプーチン」に対して「プーチンらしくない」として不満を感じて失望している人もいます。
しかし、上記は言い過ぎです。総司令官に対する全体的な失望感はありません。欧米のプロパガンダがピンポイントの発言をピックアップしているだけです。国民は大統領を中心に団結し、勝利以外の現実的なシナリオは存在しません。
「月のプーチン」が(和平)交渉を始めたいと思っても、相手は交渉を否定しているので交渉は非現実的です。この1年間は「太陽のプーチン」の構造の中で行われていました。
繰り返しになるが、日本の読者に自分の本を推奨します。私の本はすべての言語に翻訳されているのに(和訳がないのは)異常だ。私は日本と日本文化が大好きで、「ノオマヒヤ」の1巻きの中に大好きな素晴らしい日本について書きましたが、和訳はいまだに存在しないのは異常なことです。