民間の宇宙開発競争を制するのは”月面輸送サービス”

「ispace」は月面着陸のチャレンジと同時進行で、月に物資を運ぶ輸送ビジネスの確立を目指している。今回の月面着陸は「ミッション1」で、技術検証プログラムとしながら、企業などと着陸船に荷物を乗せる契約も結んでいる。UAEの宇宙機関が開発した月面探査車などを月に運ぶ。

2024年の「ミッション2」では物資の輸送と月面探査車を月で走らせる計画を立てている。2025年に予定している「ミッション3」では、今回よりも大きな着陸船を開発し輸送容量を大きくする。アポロ計画に携わったアメリカの研究チームとタッグを組み、すでにNASAから95kgの物資の輸送も託されている。その契約金はおよそ100億円におよぶのだという。

Q宇宙開発というのは国主体の事業というイメージを持っていました

「ここ10年ぐらいで政府は技術開発に対してお金を出すのではなくて、企業が作ったサービスに対してお金を出してミッションを実行していくようになった。それが端的に現れたのがアメリカのスペースXが国際宇宙ステーションに物資を輸送するというサービスを調達したことです。宇宙産業が今後発展していくにはそのサービスの調達というのが重要だと考えています」

Q月への輸送サービスを始めるきっかけは何だったのですか

「始めは着陸船を他社に頼っていたのですけども、その開発が遅れ、我々のミッションが遅れるという事態となりました。輸送を他者に依存していると、事業の確度があがらない。資源のあるところへの輸送手段を持った方が、これからの競争力は強いなということを改めて理解したのです」